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日本人だけが知らない「ゴーン逃亡」本当の罪…欧米はどう報じたか

人質司法の問題が放置されている
町田 徹 プロフィール

「人質司法」の問題が浮き彫りに

ゴーン前会長は開始予定より少し早めに、黒いジャケットにピンクのネクタイというビジネスマンらしい姿で会場に登場した。

当初は、冒頭の30分間をオープニング・ステートメントとして、自身の主張をする予定だったというが、実際は2倍超の67分間にわたって自説を展開。その結果、会見は全体で2時間35分を超える長時間に及び、まるで独演会だという批判も少なくなかった。

オープニング・ステートメントはざっくり分けると4部構成で、最初が130日間に及んだ拘置所生活の説明だった。窓もない狭い独房で、食事もその中でとらされ、シャワーは週2回しか許されず、薬も飲ませてもらえなかったといった話が語られたのだ。

次いで、ゴーン前会長は日本の刑事司法制度、特に一般に「人質司法」と呼ばれる長期勾留の問題点などに関する批判を深掘りした。そして、公正な裁判を受けられるのかと自身の弁護士に尋ねたところ、「そうなるよう努力する」という心許ない答えしかなく、これでは日本で死ぬか、日本から逃げるしか選択肢はないと感じたので、選択肢としては国外逃亡しかなく、これが正当な行為だったと言い張ったのだ。

 

この会見を、筆者が自身のラジオ番組で取りあげたところ、あるリスナーから「選択肢がなかった、という話は会見を聞いていてとても実感できました」とのコメントをいただいた。国外逃亡を容認するわけではないが、そこに至る人質司法の問題点を憂慮しているというのである。

会見に話を戻すと、具体的な逃亡方法については、手助けした人たちが追及されるからだろう。この点には頑なに口をつぐんだ。

そのうえで、32分過ぎから、ゴーン前会長が言及したのが、この事件は自分を権力の座から引きずりおろすためのクーデターだったという、ゴーンサイドから見た事件の構図だ。