「イランと中国の密接な関係」イラン危機は、米中覇権戦争の一環だ

「イランと北朝鮮」という中国のカード
峯村 健司 プロフィール

「All is well」の本当の意味

「トランプの国家観は三種類に分けられる。『強いリーダーを持つ国』『弱いリーダーがいる国』そして『邪悪な国』だ」。トランプ大統領に政策助言をしたことがある元米政府高官から聴いた、彼の世界観だ。

「邪悪な国」とは北朝鮮とイラン。北朝鮮がダメなら、手っ取り早く結果を出すには、米国民のあいだで「悪者」のイメージが強いイランを叩くという発想が大統領にとっては当然の帰結となる。それが今回の攻撃につながった。

こうした米政府内部の雰囲気を踏まえれば、イラン軍による報復攻撃のあと、トランプ大統領がツイートした「All is well」という一見不可解な言葉の意味もわかる。

実はつい先日、あるホワイトハウス関係者にトランプ政権の諸々の外交政策=ディールをどう評価しているか尋ねたところ、まったく同じ「All is well」という返事が返ってきた。

すべて大丈夫だ、想定内だ──。いまトランプ政権は、実情がどうであれ、そう言わざるを得ない。すべては11月の大統領選のためなのである。イランも北朝鮮も、トランプ大統領にとってはその足がかりにすぎない。

 

特定の国や地域だけを見ていても、国際政治の構造はなかなか見えてこない。今回の米国・イラン衝突の深層も、米中対立という枠組みの中で捉えなければ、見誤ってしまうだろう。