Photo by gettyimages

「イランと中国の密接な関係」イラン危機は、米中覇権戦争の一環だ

「イランと北朝鮮」という中国のカード

世界に激震が走った、2020年始の「米国・イラン危機」。その背景には、中国の影があった──。北京特派員として中国政府や軍・当局の最深部に肉薄し続け、その取材成果を記した『潜入中国』も話題の朝日新聞・峯村健司記者による、混迷する国際情勢を読みきるための特別寄稿。

ロシア・中国・イランの「大規模軍事演習」

米国とイランの「一触即発」はひとまず、避けられたようだ。しかし9日には、ウクライナの旅客機がイラン側に撃墜されたとの報道が新たに流れ、依然として状況は予断を許さない。

今回の米国とイランの衝突は中東問題の枠組みだけで語られることがほとんどだ。だが、より広い国際情勢の視点から見ると、これは米国と中国の「覇権争い」と密接に絡んでいる。いまマグマのごとく世界に底流する、米中対立の「噴火口」の一つが今回、中東と言える。

 

去る12月末、イラン南岸に面するホルムズ海峡東側のオマーン湾に、中国、ロシア、そしてイランの海軍が集結した。「海洋の安全帯」と称する4日間の大規模海軍演習を行うためである。

ホルムズ海峡では昨年、通過する船舶に対する攻撃・拿捕が相次いだ。5月にはサウジアラビアのタンカーなど4隻、6月には日本のタンカーを含む2隻が何者かの攻撃を受け、イランの関与が疑われた。さらに7月には英国のタンカーが、イラン革命防衛隊によって拿捕されている。

ホルムズ海峡周辺では、米国が主導する有志連合がこの1月末から船舶保護などの任務を本格化させる。海軍演習には、これに対する明らかな「牽制」の意図があり、米国の神経を逆なでするのも確実だ。そこにロシア、イランだけでなく中国が加わったことに、筆者は少なからず驚いた。

さらに続く12月31日、イランのザリフ外相は4度目となる訪中をし、北京で王毅外相と会談。王外相は「イラン情勢は深刻な情勢に直面している。米国が一方的に核合意から脱退して、イランに極限的な圧力をかけている。これこそが最近のイラン情勢が緊張している根源なのだ」と米国を名指しで批判した上で、イランとの協力関係を強めることを約束した。

イランのザリフ外相(写真は2015年の訪中時、Photo by gettyimages)