「自分は何も持っていない」

10代で、“受験”という競走に勝ち、20代で、やはりオーディションという競走に勝ち抜いて、芸能の世界に足を踏み入れた。ただ、受験は試験の点数や偏差値など、順位が数値化されやすい一方で、芸能は、例えばCD売上やコンサートの動員数など、数値化できるものもあるけれど、本当の魅力は、数字では測れない部分にある

「踊りにしてもお芝居にしても、自由な表現だからこそ、うまい下手じゃないところで、自分なりの輝きを見つけられるツールで、そこに魅力を感じたのかもしれない。もちろん、反復した回数だけ上達していくというのは、ダンスも勉強なんかと同じなんですが、でも、同じ振り付けでも、踊っている人が違うだけで、見え方が違ってくる。ダンススキルだけを切り取ったら、うまい下手はもちろんあります。でも、スキルが全てじゃない。そこが、僕がダンスに取り憑かれる魅力なんだと思いますね」

三代目J SOUL BROTHERSとしてデビューしたあとは、自分だけが何も持っていない、何も追いついてないという葛藤があった。

「試行錯誤する中で、ラップやボイパをやったりした時期もあります(笑)。でも、“好き”っていう理由から入っていなくて、無理しているから、それは続かなかった。自分のこだわりが強いことに関しては頑固だし諦めないし、目的のためには手段も選ばずというタイプですが、そうじゃない分野は、諦めが早い方かもしれない。全然ダメでも、『別にいいや』ってなる。どこなら輝けるかを、無意識のうちに、自分で選択しているのかな。この業界に入ることも含めて、全部自分の意思で決めてきたので。たぶんそうなんでしょうね」

今回の映画のように、ベテラン俳優に囲まれた現場では、「自分は何もできていない」と落ち込むことも多い。が、岩田さんの場合、その悔しさが、やる気を引き出す原動力になるそうだ。

僕のモチベーションは、“悔しい”ってことなんです、たぶん。反骨精神を、全てのモチベーションにして生きている。自分のこだわりが強い部分に関して、めちゃくちゃ負けず嫌いですね。だから、いつもがむしゃらで、いつも余裕がない(笑)。でも、自分の興味のないことでは、結果を出せなくても、評価されなくても気にしない。こだわりのあることですか? 今は仕事です。仕事以外のことは、俺、何も夢中になれてないのかもしれない」

撮影/岸本絢