「将来はエリート」と思われていた

岩田さんが、競争社会の厳しさに立ち向かった最初の経験が、中学受験だった。小学校の時は、教育熱心な母親のもと複数の学習塾に通い、家庭教師もつけて、ただただ勉強に勤しんだという。

「経営者の家に育ったので、長男は、自然と後継になるべく育てられていて、次男の僕は、兄に比べたら自由にさせてもらっていたのかもしれない。でも、母親としては、『将来は、安定した職業について、エリートとしての道を歩んでほしい』という思いはあったみたいです。子どもの頃は、僕自身もすんなりそれを受け入れていました。なぜなら、周りも、僕と似たような環境で育った子どもたちばかりで。当時、僕の中に中学受験をしないという選択肢はなかったんです」

撮影/岸本絢

そう言いながら、「でも、あの時に、母親に『勉強、勉強』って締め付けられたから、その反動でこの世界に入ったのかも」とも。

「今思えば、ストレスがすごかったんです(笑)。子どもらしい自由な世界から遮断されて、完全に、青春を奪われていた。今は、母親とも昔の、そういう話を笑いながらできるようになりましたけれど、今の仕事を認めてくれているかどうかはまだよくわかりません。自立しているから、何も言わないけれど、心配は心配なんじゃないですか。でも、親に話を聞くと、昔から、机の前で黙って勉強するというより、体を動かしたり、アートに興味を持ったり、面白そうなことについ没頭するような性格だったみたいです」