「お客様、お会計がまだです」

「二人で横浜の中華街に行った時、1980円で食べ放題のお店を見つけた彼が一人でサッサと中に入ってしまって……。仕方なく私も入ったら、彼がどんどん注文するんです。でも、なぜかどれも同じ味付けで飽きちゃって、食べきれないねってなって。そしたら、テーブルの隅に小さな張り紙があって、よく見たら『残したら1皿1000円』って書かれてるんです。これはもう食べ切るしかないって頑張ったんですけど、どうしても最後の4皿が食べ切れなくて……」

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途中、吐き気がしてトイレに立ったさちえさん。席に戻ると、彼の姿も荷物も消えていた。すると、店の外から手を振る彼の姿が見えた。

「珍しく先に支払いを済ませてくれたのかと思って、そのまま店を出ようとしたら、店員に『お客様、お会計がまだです』って止められたんです。外を見たら彼の姿がなくて、携帯に電話したら、『お前、何バレてんだよ! もう1回トイレ行ったあと、しれっと外に出ろ』って言うんです。もう、呆れるを通り越して“無”になりましたね」

仕方なくお会計を済ませたさちえさん。けっこうな額になったので半額を彼に請求しようとしたら、拒否されたという。

「『なんで俺が半分払わなきゃならないの? お前が勝手に見つかっただけだろ』って。さすがにブチ切れました。理詰めで彼を責めて、『払わなきゃ別れる』って言ったら、しぶしぶ払ってくれました。金額は半額に満たなかったですけど」

驚くべきは、ここまでのことがあっても、さちえさんが彼と別れなかったことだ。