「2010年と2020年」では、何がいちばん大きな変化だったか?

そして2030年はどんな時代になるか
堀井 憲一郎 プロフィール

2030年の風景

では2020年から2030年に飛んだとして、同じようなものだろうか。

ここからは完全な個人的な予測である。そして、2030年は風景からして、大きく変わってるのではないか、と私はおもっている。

2010年代の10年間は、2020年の大きな変化のための「タメ」の期間だったのではないだろうか。これから、かなり大きな変化がじわじわ、ありそうだ。

ひょっとして、うすうすそういうふうに感じているからこそ、みんな次の10年をわざと予想ないのかもしれない。大きな変化がくるということは、ほぼ未来が予測できない、ということになる。予想すればただはずれるばかりだ。

また、大きな変化へは不安がある。変化についていけるのかと構えてしまうし、人工知能(AI)による世界の書き換えは、ほんとうに人類を幸せにしてくれるのだろうかと、疑問にもおもう。

 

2010年代の最後の日、2019年12月31日の紅白歌合戦において、人工知能が作りだした「美空ひばり」が復活し、新曲を歌った(すでに事前に他の番組で見せていたが、大晦日が正式な国民へのお披露目だったとみていいだろう)。

2010年代最後の日に、30年前に亡くなった歌手が復活して、国民的な舞台で歌ったのである。

私はじつは少し感動した。それと同時に怖かった。この甦った人がいったい何歳の設定なのかわからず、そもそもどういう意図で甦ってきたのかがはかりしれず、ぼんやりとした不安を抱かせる存在でもあった(死んだときのままの見かけなら、まんま、喋れる亡霊じゃん、とおもった)。

考えてもしかたないのでただ眺めていたら、ちょっと心かき乱され、泣きそうになってしまった。泣きそうになったことで、いろんな不安はチャラになり、深く考えないままそのままぼんやりと歌合戦を見続け、関ジャニ∞もけっこう年を取っちゃったなあ、人数も少なくなってるし、と次のグループへの関心に移っていった。

2010年代の最後の日に、そういうものが登場したのは象徴的だとおもう。2020年代の何かを予言しているようだった。

2020年代はAIによって世界はもっと大きく書き換えられていく。

2010年代もAIによって変わっていったが、それはまだ準備段階だったようにおもう。