「2010年と2020年」では、何がいちばん大きな変化だったか?

そして2030年はどんな時代になるか
堀井 憲一郎 プロフィール

テレビが薄くなっていることや、スマホを持っているのを見ても、たぶんあまり驚かない。2010年には薄いテレビも、iPhoneもすでに出回っていた。そのときは自分で持っていなかったけれど、10年後の自分が持っていても、べつだん違和感は持たないだろう。

ただその普及のさまと、依存ぐあいには驚くはずである。

2020年現在、人力に頼らないで自動で走行するクルマの存在そのものは知っているので(しきりにテレビで宣伝している)10年後にジャンプしたとき、2030年のクルマはほぼ自動運転なんですよと言われても、あまり驚かないのと同じである。ただその運用ぐあいに驚く可能性は高い。高速道路での人力の運転は禁止されてます、と言われれば(勝手な想像ですが)めちゃ驚く。

 

それと同じである。

いまや、スマホをただの電話機だとおもってる人はいない。

いろんな情報がどんな場所にいても(電波がつながっていれば、ではあるが)取得できる魔法の板である。誰も魔法だとおもってないところがすごいし、板にしか見えないところもすごいとおもう。みんながこれを持っていて、自在に操っているのが前提の社会になっている。2010年とずいぶん違っている。

わかりやすい例で言えば地図だ。スマホがあれば、地図はいらない。渋谷の居酒屋で待ち合わせするとして、事前にパソコンで調べて、地図をプリントアウトして出かける必要もない(2010年はそうしていた)。渋谷駅に近づく山手線の中で、店の名前を入力すれば、地図が提示されて、それでたどり着ける。それを2010年の人に言えば、たぶんかなり驚くとおもう。

そのぶんスマホの位置情報をオンにしていれば(ポケモンGOやドラクエウオークをやっていれば確実に)、あなたの情報はいろんなところに集積されている。どこに住んでいて、どこで働いているのか、つまり昼はどこに長く留まり、深夜はどこで動かなくなっているのか、アルゴリズムを生み出すおおもとは(ビッグデータを集積している人工知能は)把握している。

あなたの選択は常に情報収集され、予想され、より快適な状況へ進むよう、そういう方面にお金を落とすように、誘導されていく。それでいて、べつだんそれによって不幸にはならない。そういう時代になっている。

そのことを聞くと、2010年人はかなり驚くはずである。