23区内に800ヵ所…「東京坂道選手権」その坂道に歴史あり

なぜそんな「名前」に?
現代ビジネス編集部 プロフィール

意外と単純?

坂道には、「なぜこんな名前に?」と思うようなユニークなものが多く見られる。前出の松本泰生さんに理由を尋ねた。

「江戸時代、町人地には町名がつけられていましたが、武家地にはほとんど名称がありませんでした。そこで場所を示すために、近所の坂道に名前がつけられ、目印になっていたのです。周辺の建物に由来するもの、伝承にもとづくもの、坂道の形状からつけられたものなど、いくつかのタイプがあります。

一方、明治以降は山手線外側の、江戸期は郊外だった地域の開発が進みました。こうした地域の坂道は近代以降に名前がつけられたものが多いですね」

胸突坂(むなつきざか/文京区)

 

都電早稲田駅から徒歩10分、文京区目白台1丁目に位置する。長さは65m、高低差は10m、平均斜度9度。神田川沿いの低地と関口の高台をつなぐ階段坂だ。上った先には、椿山荘や和敬塾がある。坂名の由来は、坂があまりにけわしく、自分の胸を突くようにしなければ上れないほどだったことから。急な坂は「胸突坂」と名づけられることが多く、同名の坂が複数存在する。

狸坂(たぬきざか/港区)

麻布十番駅から徒歩10分、港区元麻布2丁目と3丁目の間に位置する。長さは130mあり、直線に伸びる急坂だ。かつてこのあたりの低地は薮下(やぶした)と呼ばれ、人を化かす狸の出没する地だったという言い伝えがあったため、「狸坂」という名前になった。坂下でつながるもうひとつの坂は「狐坂」と呼ばれていて、狸の対(つい)として名づけられたようだ。

鳥居坂(とりいざか/港区)

麻布十番駅から徒歩3分、港区六本木5丁目に位置する。長さは90m、高低差は13m、平均斜度は8度。シンガポール大使館の前から「鳥居坂下交差点」までの道路を指す。江戸時代、この坂の東側に鳥居家の大名屋敷があったことが坂名の由来となっている。ちなみにアイドルグループ「欅坂46」は、当初はこの坂名を冠した「鳥居坂46」というグループ名でメンバーを募集していた。