人気イラストレーターの松尾たいこさん。もともと自信がなく、30歳を超えてようやく上京、イラストの学校に通いながらひとつひとつ自分の苦手なものを克服していきました。まるでモノクロの人生に色をつけていくように。
そうしたことを伝えてくださった連載「モノクロの人生に色をつける」も今回で最終回となりました。

松尾さんは今年でデビュー22年。海外にも進出したいという夢を持って、50歳を超えてから留学もしました。そんな松尾さんが少し前に言われたショックな出来事とは……。


松尾たいこさんの今までの連載はこちら

「松尾さんは大御所だから」

昨年の初め、ある人から「松尾さんは大御所だから」と言われました。それは私にとって、とても居心地の悪い言葉の響きでした。それは仕事に対しての「アドバイス」だったようで、つまりはイラストの世界で「大御所」と見られているから、取引先は仕事の依頼をしにくいだろうし、それも当然。だから仕事はもう若者に譲るようにしてはどうか、という意味合いのものでした。

今年、私はイラストレーターになって22年になります。普段はそんなことを意識することもなく、2年前に六本木ヒルズで個展を開催したとき、取材に来てくださった方から「20周年ですね」と言われて、「あ、本当だ」と気がついたぐらいです。

六本木の個展にて 写真提供/松尾たいこ

しかし、この22年間があっという間だったというわけではありません。

私にとってイラストレーターは憧れの仕事でした。小学校の入学時に買ってもらった水森亜土ちゃんのイラストの付いた筆箱を見て、「私も筆箱に絵を描く人になりたい」と思ったのが最初です。
遅咲きと言われながらも、30歳を過ぎてそれを実現できたことは本当に嬉しいこと。だからこそ、絵を描くことは一生の仕事にしていきたいと思っています。

依頼された仕事には「その時のベスト」を尽くしたいし、それと同時に「次はどんなことができるかな」と、周りから飽きられることのないように、つねに考え続けています。

「風景」しか描けなかった私が「動物」「植物」「人物」を何度となく練習を重ねて人にアドバイスをいただきながら描けるようになりましたし、依頼があれば、新たなモチーフにも挑戦しています。