千葉セクションの地層(著者撮影)

祝・地質年代「チバニアン」決定! で、結局何がスゴいの?

申請の立役者がどこよりも早く解説!
2020年、新年早々にビッグニュースが飛び込んできました! 
地質年代の正式名称に「チバニアン」がついに決定! 

史上初めて、日本の地名が地球の年表に刻まれることとなったのです。正式決定に至るまで研究を重ね、何本もの論文を執筆してこのプロジェクトをリードしてきた立役者、国立極地研究所の菅沼悠介さんに、「チバニアン」っていったい何なのか、何がスゴいのかを教えてもらいました!

2020年1月17日、今日は昼過ぎから多くの報道関係者が東京都立川市にある国立極地研究所に集まっていました。

数年間にわたって続いていた千葉セクションの前期・中期更新世境界GSSPの審査が終わり、ついに最終結果が発表されることになっていたのです。

そして、ついに千葉セクションが正式にGSSPに認定されました。地球の歴史区分(地質年代)の一つに日本の地名に由来する「チバニアン階/期」が誕生したのです。

じつはこれまで、恐竜が絶滅した白亜紀末から前期・中期後進世境界まで約6000万年間におけるGSPPは、すべて地中海沿岸の地域に置かれており、他の地域が選ばれたことがなかったのです。

日本の地名に由来する地質年代が誕生するのは初めての快挙です。

そもそも、「GSSP」って何のこと?

まずは、GSSPについて説明をしましょう。

恐竜が巨大隕石の衝突によって一瞬で絶滅に追いやられたり、地球全体が寒冷になった時代(氷期)には巨大な氷床が中緯度まで張り出していたり……。ダイナミックな地球変動の歴史を知ることには一言では語れない魅力があります。

一方、人為起源の二酸化炭素排出によって地球温暖化が進む現代では、将来の地球気候変動の予測をより高精度化していくために、過去に起きた地球規模の気候変動を調べ、その変動のメカニズムや影響を明らかにしていくことも重要となってきています。

地球の歴史をより詳しく調べるためには、地球の歴史を俯瞰するための基準が必要となります。

 

つまり、地球の歴史を調べるための「年表」や「時間の目盛り」があることによって、過去のイベントがいつ起きたものなのか、そのイベント発生の経緯や原因や、他のイベントとの前後関係などが明らかにできるのです。

このため、地質学の国際機関である国際地質科学連合は、国際年代層序表(International Chronostratigraphic Chart)として地質年代を標準化してまとめたものを公開しています。地球の歴史の研究も日進月歩で進歩しますので、国際年代層序表も最新の研究成果を反映して随時更新されていきます。

国際年代層序表(International Chronostratigraphic Chart)、2019年5月現在(日本地質学会HPより)
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やや専門的になりますが、地質年代は、大きな区分からおもに「代」「紀」「世」「期」に区分されています。一般によく知られる古生代や中生代は「代」の区分、またジュラ紀や白亜紀は「紀」の区分に相当します。

この区分に従うと、現在我々が生きている時代は「新生代/第四紀/完新世/メーガーラヤン期」となるのです(ちなみに現在、我々現代人類が生きる地質時代として新たに「人類世」の提案が検討されています)

そして、地質年代の中でもっとも細かい区分である期(階)の下限(それより古い期/階との境界)については、世界中からこの地質年代の境界を代表するのにふさわしい地層を一つ選び、模式地として認定するのです。

これを「国際境界模式層断面とポイント(Global Boundary Stratotype Sections and Points)」、英語の頭文字を略して「GSSP」と呼びます。
 

第四紀における年代層序単元/地質年代単元(日本地質学会HPより)

1977年以降、国際地質科学連合は全部で114個ある地質年代境界について、GSSPの認定作業を続けています。しかし、一部の時代区分については、境界の定義について議論が続いているものや、最適な候補地が見つからないなどの事情で認定に至っていない時代境界も残されています。

今回新たにGSSPに認定された前期・中期更新世境界もこういったなかなか決まらない地質年代境界の一つだったのです。

GSSP認定のための厳しい「基準」

さて、GSSPはどのような基準で認定されるのでしょうか。