Suicaはなぜ世界標準にならなかった?もったいない日本の技術力

「海外で勝てない技術」からは離れよう
山本 康正(文責 現代新書編集部)

日本にまだない「世界標準」を取り入れよ

反対に、世界ではデフォルトなのに、日本にはまだ入っていないテクノロジーを見過ごしてはならない。たとえば、乗り捨てができる電動キックボード(スクーター)がある。シリコンバレーや中国ではすでに導入されているが、日本はまだ福岡で実証実験が始まったばかりだ。

 

GPSが付いているので、どこへ乗り捨てても位置がわかる。利用者は置いてある場所から乗り、自分が好きな場所で乗り捨てればいいので非常に便利だ。自動車が増えすぎて困っていた中国から始まり、アメリカではワシントンDC、サンノゼなどでブームが起こった。

1回の料金は約100円。折りたためるタイプなので、放置してもそれほど場所は取らない。日本では、KDDIが出資したアメリカの企業が福岡の特区で始めるようだが、実験が成功して全国に導入されても、中国やアメリカには遅れをとった。

同じことが配達ロボットでも起こっている。

アメリカでは、アマゾンの宅配を人ではなくロボットが担う取り組みが始まろうとしている。ロボットが配達先に荷物を運び、勝手に置いていく。媒体はドローンもあれば、歩道を走行するミニカー型のロボットもある。アメリカでは認可されてサービスが始まるというのに、日本ではなかなか認可されない。

これはビジネスというより規制の問題だが、ロボットのテクノロジーが出てきた段階でどのように応用できるかを考え、導入することで国にどの程度の利益が上がり、安全性について検証し、法整備を検討する。そういうことをシビアにビジネス感覚を持って考えられる人材が少なければ、後手に回って利便性や収益性の機会が奪われてしまう。

アメリカや中国やほかの国で流行している理由を詳細に検討する。日本は他国とは違うというスタンスを考え直すときが来ている

日本人はシャイだから匿名の形しか受け入れられないと言われてきたのに、実名で行うフェイスブックは受け入れられた。インスタグラムも顔出し実名でやっている。中高生に大人気の動画アプリ、ティックトックでも、若者は顔出ししている。

かつての風説と異なり、若者は顔出しへの抵抗がない(photo by gettyimages)

現実に流行している現象を否定していた評論家は責任を取らない。評論家の考えを参考にするよりも、自分で情報を集め、自分で考えて行動しなければ、確実に時流を逃す。

Uberの導入拒否がもたらす機会損失

個人的には、ウーバーの導入を日本が躊躇したのも残念だと感じた。

タクシー業界の保護というだけで、ウーバーが日本で稼働していないのは大きな機会損失だ。もちろん負の側面もあるが、ウーバーのメリットは、優れたアプリを用いる形で素人ドライバーが客を乗せる点にある。二種免許を持っているドライバーをアプリで配車しても大きな効率改善にはつながらない。

グーグルマップを使うことで、素人が初めて行く場所にも容易に行けるから、ドライバーの裾野が広がり料金が下がる。それを真っ向から否定してしまった日本の判断は、国民やオリンピック時を含む観光客から利便性やコスト削減の機会を奪っていることにもつながると思う。

ウーバーとは何か、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)とは何か、CASE(コネクティッド化・自動運転化・シェアサービス化・電動化)とは何か。これらの言葉を操っている人は多いが、本当の意味をわかっている人は少ない。

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