45歳以上の正社員化は困難…この国の「氷河期世代支援」を問う

これで効果があるのだろうか
小林 美希 プロフィール

業界団体を通じて船員や農業、建設、ITの資格を取得して職場体験や就職に結びつけるという「出口一体型」支援にしても、業界団体に委託するのは新たな取り組みとなるが、資格取得を促して就労支援するスキーム自体はもともと若年層やシニア層も対象の既存事業で、そこに就職氷河期世代も含んでいるというだけのもの。全世代に向けての支援を否定こそしないが、政府が強調するほど氷河期世代に特化しているわけではない。

これまでの施策に効果がなかったから氷河期世代が問題になっているのに、その既存の施策が改めて強調されていて、それで効果があるか疑問だ。

 

人手不足業界に呼び込みたい?

そして、「行動計画2019」は、既存の施策が寄せ集められており、全体的に人手不足業界に呼び込みたいという意図も透けて見える。

「出口一体型」支援として、業界団体に委託して短期間で資格をとって就職に結びつけるというが、IT、建設、運輸、農業が挙げられている。

さらに、観光業、自動車整備業、建設業、船舶・舶用工業、船員等への新規就労者を増やすことも掲げられているが、いずれも超のつくほど人手不足に陥っている産業だ。

単に数合わせを行っては効果が薄くなってしまう。なぜなら、就職氷河期にも求人はあったが、常に人手不足の状態の業界が多く、早期離職も多かったからだ。

大卒就職率が史上初の6割を下回った2000年3月卒の場合、就職者総数は30万1000人で、うち男子は18万4000人(就職率55.0%)、女子が11万7000人(同57.1%)だった。

男子は「サービス業」(26.7%)、「卸売・小売り・飲食店」(23.9%)、「製造業」(20.8%)の順に多く、女子は「サービス業」(41.5%)、「卸売・小売業、飲食店」(19.3%)、「製造業」(12.7%)が多かった。

大卒就職率が55.1%と過去最低を記録した2003年3月卒も似た傾向で、いわば、これらの業界は不況でも慢性的な人手不足状態と言えるだろう。