Photo by iStock

あなたの家を安値で売りさばく「悪徳不動産仲介業者」の手練手管

業者ナシでマンション売却体験記(3)

一般的な不動産仲介業者を使わずに中古マンションを売却することで、手数料支払いゼロを実現した体験談を紹介する本連載。第3回は、なぜ筆者が不動産取引プラットフォームサイト「おうちダイレクト」の「セルフ売却」を選んだかについて紹介したい。

冒頭から身も蓋もない話で恐縮だが、そもそも、不動産仲介業者とその従業員には、物件を1円でも高く売るという「売主利益の最大化」に相反する行動をとってしまいがちな構造的要因がある。それはひとえに、「成功報酬型の仲介手数料を前提としたビジネスモデル」、「差別化の難しい仲介業者間における激しい競争」、そして「徹底したノルマ制」により織り成されている。

そのことを説明するため、ある仲介業者と専任媒介契約(詳細は前回参照)を結んだ場合を想定して、その裏側で何が起きているかをお話しすることにしよう。

 

「ノルマ」で動く不動産業者

筆者がある不動産会社から聞いた話では、仲介業者の営業員には、仲介手数料売上にノルマがあるだけでなく、専任媒介契約の新規獲得件数についても、月単位などで目標値が設定されているという。

営業職経験のある読者の方には釈迦に説法かと思うが、営業で成果を出すための「プロセス管理」という手法がある。

不動産に限らずほとんどの業界の営業において、1件の成約の裏には、何百件のアポ取り電話(あるいは何千枚のチラシ)があり、それが十数件のアポ、数件の商談につながったというプロセスがある。これはいわば確率論であるから、それこそ架電数、アポ数、商談数……と各プロセスの目標数字を達成することが、最終成果の達成につながるという考え方である。

この理屈でいえば、不動産仲介営業における最終目標は、当然「売買成約件数」と「仲介手数料売上額」であり、専任媒介契約の獲得件数はその前の「プロセス目標」ということになる。ただ現場レベルでは、「専任媒介契約さえ結んでしまえばもう成約したも同然(=売上が見込める)」と考えられているフシがある。

なぜなら、売主側としての仲介業務を他社に横取りされる心配はもはやないし、よほど売れにくい物件であったり、リーマン・ショック直後のような特殊な状況でない限り、市場価格相応の値段で売りに出せば、専任媒介契約期間中(3か月)に成約することはほぼまちがいないからである。そう考えると、各社がとにかく専任媒介契約を結びたがる理由もわかる。