トランプ大統領にイラン攻撃を決断させた「オバマ」という固有名詞

俄かに信じ難い話だが、事実である
歳川 隆雄 プロフィール

抑制された報復

イランの最高指導者ハメネイ師が「殉教者ソレイマニ作戦」と名付けた“仇討ち”は8日未明(現地時間)、まさに同じ時間午前1時20分にイランのイラク国境に近い西部ケルマンシャー州の移動式発射台から短距離弾道ミサイル16発をアサド空軍基地とイラク北部のアルビル基地に向け発射・攻撃したものだ。

イランの最高指導者ハメネイ師 photo by gettyimages
 

だが、このイランによる報復(仇討ち)が極めて抑制されたものであったのは、(1)標的のアサド空軍基地は飽くまでもイラクの基地で米軍施設ではなかったことと、米軍兵士の死傷者がゼロであった、(2)米側がミサイル発射を事前に把握していたものの迎撃攻撃しなかった、(3)精度が高いとされるイラン弾道ミサイルが16発のうち1発がアサド基地の外、もう1発は空港滑走路に着弾、そして数発が空港建物を破壊したことから、敢えて米軍兵士のいない地点を標的にしたこと――からも窺える。

では、ドナルド・トランプ大統領はいつ、なぜソレイマニ司令官暗殺を決断したのか。時間は昨年末に遡る。トランプ大統領は12月20日夜から15日間、南部フロリダ州パームビーチの別荘「マールアラーゴ」に滞在した。連日連夜のゴルフと夕食会三昧だった。

ところが、同27日に事態は急変した。イランに支援される「神の党旅団」がイラクにある軍事施設をロケット弾攻撃し、米民間人1人が死亡、イラク、米軍兵士十数人が負傷する事態が出来したのである。