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イラン危機がすべて「アメリカのご都合」で説明できるワケ

トランプの大統領選が圧力に

今年に入った1月6日、イランのソレイマニ司令官が、イラクの首都バグダッドで、イランの協力者との打合せ後にバグダッド空港で、米軍の攻撃により殺害された。

この問題の奥は深い。

しかしながら、一旦は、戦争か、との緊張が国際社会にみなぎり、マーケットも大混乱したが、イランが、死傷者の出ない報復ミサイル攻撃を1回行った後、双方とも不拡大の方針を示し、マーケットも平静を取り戻しつつある。

このような、「意外」な展開の原因は、すべて米国の事情ということで説明できる。

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大統領選からみた米国大使館襲撃

この地域の混乱は、まず、イラク建国の歴史が根底にある。第1次世界大戦の後、英などの西側列強が、宗教の流派や民族を軽視して中東の国境を制定した(国を持てないクルド人もいる)。これがそのそもそもの中東やアフリカの地政学的な不安定さの原因になっている。

言うまでもなく、イスラム教徒にはシーア派とスンニ派の2つの党派対立がある。勢力範囲(ここが一番問題なのであるが)、特にイラン等がシーア派、サウジアラビアとイラクの大部分などがスンニ派(東南アジア諸国もスンニ派)であり、最大党派となっている。

このイスラム教徒のシーア派とスンニ派の争いが、兄弟げんかにようにいつも精鋭化しているのである。本来は国境線できちんと分けていれば、このような複雑な対立関係にはならなかったといえる。

イラク国内(バグダッドを含む東北地方)にもイラン系シーア派が多数存在する。国会運営も現在シーア派が優勢であり、イラク議会は米軍撤退を要求した。12月31日にはバクダッドの米国大使館の焼き討ちが起きた。

 

どの国(政府)においても、大使館は特別(神聖)な場所である。外国にあったとしても、大使館は治外法権であることからもわかるように外国の法律等に縛られない。その大使館を襲われることは、宣戦布告と同格意味をもつ。それで、米国トランプは報復したのである。

海外の米国大使館が襲撃されたことは今回が最初ではない。1979年にイラン大使館占拠事件(映画『アルゴ』になっている)、そして、2012年にリビア大使館襲撃事件が発生している。

その対応のまずさ(弱さ)から、当時のカーター大統領やオバマ大統領は人気が急落した。カーターが再選ができなかった理由の1つにもなった。そのため、トランプは11月に大統領選を控えており、強硬姿勢を示さらなければならなくなったのである。

しかし、本格的な戦争は、米国民の生命が多数失われることになり、これもまた政治的な人気が落ちる原因となる。そのため、探り合いのようなドローンやミサイルの攻撃となっているのである。