女性の死に方が「男性化」しているという、驚くべき現実

法医解剖医が見た、女性の痛みや苦しみ
西尾 元 プロフィール

女性は解剖されにくい

今のところ、解剖される人の約7割は男性である。女性は3割しかいない。解剖のされやすさという点では、男性は解剖されやすく、女性は解剖されにくい。一人暮らしをしていても、女性は男性と比べて、解剖されにくいことになっている。

解剖になった一人暮らしの人の年代を男女で比べてみると面白いことがわかる。男性では50代から60代の人が一番多い。一方の女性では、年齢が高くなるほど解剖される人が多くなる。男性が一人暮らしをしていると、生活が荒れてくることが多い。50代から60代くらいのところで何かの病気にかかって亡くなるのだろうか。

生活能力という点では、女性は男性より優れている。一人暮らしをしていても、女性の場合、命が危うくなるほど生活が荒れてしまうということは少ないのだろう。

兵庫医科大学法医学講座の解剖データより
 

女性の将来は男性より明るい?

講演会をする機会がある。聴衆の多くは女性だ。にこやかに笑いながら、話を聞いている。講演会の内容に多少興味はあるのだろうが、それよりも親しい人と一緒にご飯を食べたり、買い物をしたりすることを楽しみに講演会に来ているように思える。

一般的に、男性は群れない。人によっても違うのだろうが、基本的には単独行動を好む。一方の女性はどうかというと、だれかと一緒に行動することを楽しんでいるように思える。フットワーク軽く、女性独特のコミュニケーション能力の高さを発揮している。こうした生活様式の特徴が、女性の解剖率の低さにつながっているのではないか。

今後は、男性のような死に方をする女性が増えていくと予想される。だが、女性独特の行動様式を続けていけば、解剖されるような死に方はある程度防げるのではないだろうか。「私、孤独死するかも」と不安そうに言っていた彼女も、案外うまくやっていくような気がする。

一人で暮らしていれば孤独死する危険性はある。だが、亡くなってしまえば孤独死が嫌だと嘆くことすらもうできない。

仮に一人暮らしをしていて、ひっそりと亡くなってしまった時、遺体が腐敗したり、周りの人に迷惑をかけたりするのが嫌だというのであれば、何か適当な身元確認のための方策を考えておけばよい。

今後は、そういったサービスが色々と利用できるようになってくるだろう。孤独死を必要以上に恐れる必要はないのではないだろうか。