野球の投球、危険なのは「低めか高めか」…最新の“正解”はこれだ

これまでの常識が通用しなくなっている
二宮 清純 プロフィール

高めの変化球は、むしろ危険

では現場はどうなのでしょう。日米7球団でプレーし、現在は千葉ロッテでピッチングコーチをしている吉井理人さんに聞きました。

メジャーリーグを見ていると、確かに低めに“目付け”しているバッターが多いですね。低めの変化球をいかすためにも、高めの速いボールは有効だと思います。それは間違いない。権藤さんのおっしゃる通りです

そして、こう続けました。

とはいっても、高め一辺倒ではダメ。特に高めの変化球は危険です。“抜けスラ”(抜けたスライダー)なんて果てしなく飛ばされます。最近、流行しているカッターも危険。右ピッチャーの右バッターへのカッターは、ちょっとボールが浮くとスピードが落ちて外に曲がるため、一番腕の伸びたところでとらえられてしまう。それを理解していないピッチャーやキャッチャーが多過ぎる。確かに今の野球で高めは有効ですが、それはピッチャーの球速と球質次第でしょうね

 

権藤さんと吉井さんの話を聞いた上での結論は以下になります。

(1)フライボール革命下において、高めのストレートは有効。(2)ただし、それには一定の球速がいる。スピンのきいた“伸びるボール”なら、なお可。(3)変化球は低めへ。“抜けスラ”や浮いたカットボールは、むしろ危険――。

いずれにしても、「低めにさえ投げておけば大丈夫」というこれまでの常識が通用しなくなっていることだけは間違いなさそうです。フライボール革命下、プロ野球は試行錯誤の只中にあります。