野球の投球、危険なのは「低めか高めか」…最新の“正解”はこれだ

これまでの常識が通用しなくなっている
二宮 清純 プロフィール

権藤博が唱える「低め危険説」

ところが、そうした定説に真っ向から異を唱える解説者が現れました。自他ともに認める「ピッチングコーチ職人」で98年には監督として横浜を38年ぶりのリーグ優勝、日本一に導いた権藤博さんです。

評論家や解説者はバカのひとつ覚えみたいに言うでしょう。“ボールを低めに集めたのが勝因だ”って。これが間違いなんです

権藤博(Photo by gettyimages)

権藤さんの主張は明快です。

昨年の7月2日、巨人の菅野智之が中日を6安打完封した試合がありました。ある評論家が“今日の菅野はコントロールが悪くてボールも高かったけど、何とか抑えましたね”みたいなことを言っていましたが、僕に言わせれば、ボールが高かったから抑えられたんです。彼とは17年のWBCでも一緒でしたが、僕は事あるたびに言いました。“低めはダメだ、やられるぞ。高めはバッターの目に近いから思わず振ってしまう。だから高めで勝負しなさい”って……

 

もちろん権藤さんの“低め危険説”には根拠があります。それは近年、メジャーリーグを席巻している「フライボール革命」です。これは打球速度と角度の関係性に着目した打法で、脇をあけ、アッパースイングでボールの芯の下の部分を叩けば、飛距離が伸びるというものです。

再び権藤さんです。

このフライボール革命の影響で、日本も“低めに投げておけば内野ゴロに仕留められる”という時代じゃなくなった。バッターは、最初から低めのボールをすくい上げてスタンドに持っていこうと構えている。埼玉西武の山川穂高なんて、その典型ですよ。もうそろそろ、日本の指導者も“低め、低め”という古い常識は捨てた方がいい