アパレル業界が「常時セール」という劇薬から脱却するために

「ファッション」を再興させる方法
井上 雅人 プロフィール

1分でわかる、アパレル衰退の経緯

ファストファッションが出現した21世紀のはじめの頃は、アパレル業界にも、まだまだ余裕があった。その頃は、まさか人種や国境を飛び越えて、世界中の貧困にあえいでいるわけでもない人々が、同じメーカーの安価な衣服を自ら進んで求めるようになるなど、誰も予想しなかった。ましてや、流行に敏感な日本の若者たちが、それらで満足するなど考えられないことだった。

それからしばらくして、巨大なショッピングモールが日本中に建てられるようになると、それぞれの地域らしさをなぎ倒して、風景や生活を画一化しまうと危惧されるようになった。

〔PHOTO〕iStock
 

ショッピングモールが、商店街を時代遅れに追い込むだろうと予測されることはあったが、地方の百貨店のほとんどを、これほど急速に経営難に追い込むとは思われていなかった。2019年の年末には、オンワード系のショップが600店も撤退することが表明され大きなニュースになったが、そのほとんどは、そういった百貨店の店舗だろう。

アメリカでは、事態がさらに進んでいる。地方のショッピングモールが廃墟化しているのだ。原因は、アマゾンなど、オンラインショップによる衣服の販売だ。日本では、メルカリをはじめとした、古着というよりシェアリングのマーケットがオンライン上に出現し、好評を博している。

もはや新品では服が買われなくなるのではないかと、大げさに危惧する人もいる。この10年余り、栄枯盛衰などといった陳腐な言葉では、とても表現できないほどの、スピード感を持った業態の変化が起き続けた。