独身アラフォー女性が「地元での年末年始」にブルーになる諸々の事情

棲み分けていた人が集まって起きる軋轢
藤井 聡子 プロフィール

終わりがないかに思えた独身ブルーだったが、私がピストン藤井としてライター活動をするようになってから、その憂鬱な気分は解消されることになった。

私が富山でライターをしているのは、地元の珍妙な魅力を掘り下げたいという純粋な欲があるからだ。そしてもうひとつ、みんなと同じ幸せを迫る周囲の圧力に気おされないためでもある。取材を通して、富山の「普通」に収まらないはみ出し者たちと出会い、私は保守的な共同体の中で何とか足場を確保することができた。

男か女か分からない、ピストン藤井という飛び道具は割と役に立つ。正月の親戚の集まりでも、「結婚はまだしてないけど、ピストン藤井はやってます!」と言えば、「なんやお前は分からん奴やのぉ」と呆れられる。変わり者扱いされることで、息がしやすくなった。今では結婚に関して説教されることもめっきり減った。30代の変わり者から40代の腫れ物に昇格し、周囲が気を遣うようになったのだろう。とことん浮くことは、地方で生きる処世術のひとつだと思う。

 

酒量とともに嘆きの声も大きく

年末年始に話を戻そう。私はいまやずっと地元にいる身なので、「結婚しろ」圧に対する対処は心得ているが、富山との関わりが「たまに帰省するだけ」のAにとってはキツいものがあるのだろう。嘆きの声は酒量とともに大きくなる。

私からすると東京をサバイブするAはタフで賢く、ひとりで生きていくスキルも算段も、とっくについているように思える。しかし富山に帰省すると、彼女はひたすら、自分が独身であることを嘆くのだ。