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米国の核心的利益はイランではなくイラクである「これだけの理由」

金正恩は斬首作戦におびえる…

イランは憎い相手だが、重要なのはイラクである

米国防総省は、1月2日夜、トランプ大統領による指示で、イラン革命防衛隊コッズ部隊(米国からテロ組織とみなされている)のソレイマニ司令官を殺害したと、発表した。

米軍はイラクの首都バグダッドで空爆を実施。ソレイマニ司令官とイラクのイスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」の指導者アブ・マフディ・アルムハンディス容疑者が死亡したと報道されている。

 

昨年6月13日に、日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーがホルムズ海峡付近で襲撃を受けたときや、9月14日にサウジアラビアにあるサウジアラムコの石油生産プラントを標的として行われたドローン、ミサイル攻撃の際には、最終的に米国は「攻撃」には至らなかった。なぜ今回「攻撃」が行われたのか疑問に感じる読者が多いのではないだろうか?

6月13日の場合では、攻撃の当日に「イラン革命防衛隊の隊員が不発弾を除去していることを示すと称する」動画を公開し、イラン政府の責任を追及している、

また、9月14日のドローン攻撃の実行者は、サウジアラビア政府によって特定されていない(イラン製のドローンが使用されたとの発表は行われている)が、ポンペオ米国務長官は攻撃の背後にイランの存在を主張。9月23日には、イギリス、フランス、ドイツ3カ国首脳も、「石油施設への攻撃はイランに責任がある」との見解を示している。

さらに「イランの革命防衛隊による米国の無人偵察機撃墜への報復として6月20日夜に攻撃を命じたが、その攻撃で大きな人的被害が出るので、無人機に対する報復としてはつり合わないと判断し、作戦開始10分前に中止した」と、トランプ大統領がツイッターで明らかにしている。

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これまでの、このようなイラン側とのやりとりの流れを考えると、今回のソレイマニ司令官殺害は、

1. 米国がテロリストのリーダーと考えている、ソレイマニ司令官への斬首作戦
2. 「米国の核心的利益」である「イラクに手を出すな」という警告

という側面が強いと思う。

確かに米国とイランとはお互いに遺恨を持ち、激しく敵対しているが、その関係は米国と北朝鮮の関係に似ている。

イランは超大国米国と戦争を行えば負けるのが分かっている(後述のようにイスラエルに対しても……)し、米国も戦争でこれ以上米国の若者の血を流したくない。つまり、どちらも「本音では戦争など行いたくない」ということである。

もちろん、激しいやり取りの中で「偶発的戦争」が始まる可能性はかなり高まっているが、「第3次世界大戦」などと大騒ぎする前にもう少し冷静に情勢分析を行う必要があると思う。