側近の告白! ソフトバンク・孫正義の知られざる「頭の中」と「素顔」

300年先までを記した巻物を片手に…
砂川 洋介 プロフィール

孫正義だけが見抜ける欠陥

孫氏の一挙手一投足をそばで見てきた三木氏はある日、孫氏が書類の誤りを一目で見破ってしまうことに気が付いた。三木氏はここに孫氏の卓越した先見性の基礎があると考えている。

「何人もの幹部が目を通過した書類を、孫社長に見せると、瞬時に誤りを見破ってしまうということが何度もありました。おそらく孫社長は書類の冒頭を読めば、導き出される結論が分かってしまう。だからロジックの飛躍や齟齬が見つかると、必ず間違いがあるはずだと探し始めるからでしょう。

こんなことができるのも、孫社長は常日頃、理論や数値を用いてあらゆるものをシミュレーションし、結果を予想する訓練を積み重ねているからです。

私たちは、孫社長にいつも『スターウォーズのフォース(予知力やテレパシー能力を持つエネルギー体)になれ!』と言われていました。

つまり孫社長の頭の中では、あらゆるデータや現象が相互作用して、結果にいたるプロセスがいつも回っている。だから未来を正確に予想する力が備わったのではないか」

 

そしてその力は「ソフトバンクグループが成長するうえで、最も重要な原動力だった」と三木氏は言う。

「孫社長が最初に『ムーアの法則』の重要さに気が付いたことがソフトバンクグループの原点にあると私は思います。インテル創業者のゴードン・ムーアが1965年に書いた論文では、『半導体の集積率は18ヵ月で2倍になる』とされています。つまり集積する半導体チップの大きさは18ヵ月で2分の1となるということ。このムーアの法則の知識があったから、バカでかいコンピューターしかなかった時代に、孫社長はやがてデバイスが小型化することや、通信速度が速くなることを予測することができた。

それが大枚をはたいてでもヤフーBBを始めた理由だし、ボーダーフォン(現ソフトバンクKK)を買収し、さらにARMを買収した理由でもある。いまやこれらの事業がソフトバンクグループの足場を固め、群戦略の基礎となる事業となっています」

2019年11月の中間決算では7000億円もの四半期赤字を計上したソフトバンクグループだったが、その逆風の中でも堂々たるプレゼンを披露した孫氏の会見が話題になった。未来への確固たる自信の表れなのだろう。

孫氏はいまも未来への布石を打ち続けている――。