側近の告白! ソフトバンク・孫正義の知られざる「頭の中」と「素顔」

300年先までを記した巻物を片手に…
砂川 洋介 プロフィール

PayPayの「100億円キャンペーン」の原点

孫氏はいまソフトバンクグループの社長として、グループをまとめ上げ、投資家としての才能を花開かせている。

一方で、過去にはADSL事業の「Yahoo!BB」や携帯事業の「ソフトバンク」をモノにしてきたように、「実業家」としての才能も誰もが認めるところだろう。

たとえば2001年に参入したADSL事業での「剛腕ぶり」について、三木氏には今でも忘れられない光景があるという。

 

都内の雑居ビルの一室で申し込みの受付準備を始めていた三木氏の頭には、まずは東京都内で募集を始め、徐々に全国に広げていくという構想があった。事業を立ち上げた当初、ADSL事業のスタッフは3人しかいなかったので妥当な方針だろう。

ところが、突然、その雑居ビルに孫氏が怒鳴り込んできたという。

「三木!おまえが仕事を止めてるのか!」

こう言うと、孫氏は三木氏の方針などお構いなしで、いきなり全国1024局で募集をスタートさせてしまったというのだ。

〔photo〕gettyimages

それからわずか3日で100万人の応募が殺到。これをたった3人で処理するハメになった三木氏は、応募とクレームの坩堝に埋没し、苦難の日々を過ごしたのだった。

ところが結果的にこの「Yahoo!BB」事業は、500万人の会員を獲得し、のちの携帯キャリアに進出する大きな足掛かりとなる。

このときの戦術こそ大風呂敷を広げる孫社長流の事業モデルと言えるものだったといえる。

多額の宣伝費をかけて周知を徹底。さらにモデムを無料で配布して、とにかくユーザーを増やす。結果、数千億円規模の大赤字を出しながらも、ADSLでソフトバンクはシェアトップを獲得した。黒字化に成功し、さらにそのユーザーは携帯事業にも引き継がれていったのだ。