「マインドフルネス・ウォーキング」を提唱する谷川浩隆先生

腰痛、肩こりは「歩き方」で治す

「腰痛先生」のウォーキング講座
多くの人々を悩ます腰痛。様々な治療法が提唱されていますが、今注目を集めているのが、認知療法とウォーキングを組み合わせた、「マインドフルネス・ウォーキング」。心的治療と身体的治療を組み合わせることで、より大きな効果を発揮できるとされています。
その第一人者であり、『腰痛は歩いて治す』(講談社現代新書)を上梓した谷川浩隆先生が、簡単に始められる「マインドフルネス・ウォーキング」を解説します。今日から始めて、心も身体も健康に!

腰痛に効くマインドフルネスとは?

禅や瞑想に似た精神の集中法として「マインドフルネス」というものが、一般に知られてきました。「気づき」とか「注意の集中」という意味があります。

悩みやからだの不調があると考えまいとしても、頭の中をぐるぐる何回も湧き出てくように人を苦しめます。そんな一つの悩みにとらわれたりしないで自然体になります。それから自分のからだで「今の瞬間」を感じてください。過去でも未来でもなく「今」です。呼吸をしている「今の自分」に意識をあてていきます。

この集中法をマインドフルネス認知療法とかマインドフルネス瞑想といい、もともとうつ病などのメンタルの疾患の治療法だったのです。こんな精神的で心理的な集中法が腰痛などのからだの痛みに効くことが心身医学や心療内科の論文で多数紹介されるようになってきました。

 

マインドフルネスでは、まず全身の筋肉をリラックスさせて呼吸を整えていきます。筋肉の緊張がほぐれると「緊張から弛緩へ」つまり「交感神経から副交感神経へ」作用が変わっていきます。

交感神経が緊張しっぱなしの状態からやすらぎの副交感神経が優位となって、自律神経のバランスが整えられていくのです。腰痛や肩こりの原因となっていた筋肉の緊張状態や感覚神経の過剰な興奮がなくなり、痛みが徐々に消えていくのです。

1日数分のマインドフルネスで痛みが改善 

こころに余裕がある時に、実践してみてください。あおむけに寝てゆっくり深呼吸をします。腰痛がある人なら痛みのある場所を意識しても、意識から外してもどちらでもかまいません。痛み部位に集中する方法もありますが、最初はあえて意識せず、自然な気持ちで始めたほうがいいでしょう。

まず、ゆっくり呼吸を繰り返します。目を閉じてからだの力を抜いていきます。呼吸をしていることを意識して、空気が鼻の穴から肺に入っていくのを感じます。からだ全体の緊張がぬけていくのを感じ取っていくように意識を集中させてみてください。痛みがある場所を少し意識してみてもいいです。急性期の激しい痛みでなければ、これだけで気持ちが落ち着き、痛みもだいぶ和らいでくるはずです。

ほかのことを考えそうになってもいいのですが、考えそうになっている自分を感じてください。痛みによる不安や原因は考えないようにしてください。 1回数分でいいのです。 1日に 2〜3 回このようなことを行えば、もう立派なマインドフルネスです。痛みの感じ方が変わってきて、焦りや不安は鎮まっていくことでしょう。