1月21日 超音速旅客機「コンコルド」が運航開始(1976年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1976年の今日、英仏共同開発の超音速輸送機(supersonic transport:SST)、コンコルド(Concorde)が就航しました。イギリスの英国航空(Buritish Airways)ではロンドン~バーレーン線で、フランスのエールフランス(Air France)ではパリ~ダカール~リオデジャネイロ線で、それぞれ目的地に向けて飛び立ちました。

【写真】ロンドン・ヒースローを飛び立つコンコルド
  ロンドン・ヒースローを離陸するブリティッシュ・エアウェイズ機。運航初年の写真 photo by gettyimages

開発の背景と経緯

戦後、各国はジェット旅客機の開発、就航に取り組んでおり、イギリスのデ・ハヴィランド・エアクラフト社 (de Havilland Aircraft Company)のデ・ハビランド コメット (de Havilland DH.106 Comet、1952年)、アメリカのボーイング707(Boeing 707、1957年)、ダグラス DC-8(Douglas DC-8、1958年)などがデビューしました。

関連の日:5月 2日 世界初のジェット旅客機が就航(1952年)

ジェット旅客機の開発、運航に成功した1950年代の後半になると、その開発競争は音速を超える飛行機の開発に進み、アメリカではボーイング2707(Boeing 2707)、ソ連では国営の航空設計局によってツポレフ Tu-14の開発が進められていました。

【写真】ツポレフtu-144
  旧ソ連がコンコルドに先立って開発したツポレフtu-144 photo by gettyimages

欧州では、イギリスがブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション (British Aircraft Corporation : BAC、現BAEシステムズ)と、フランスのシュド・アビアシオン(Sud-Aviation)が、紆余曲折の末に共同開発することになり、コンコルドの開発がすすめられました。

【写真】開発中の実験
  風洞実験を行うコンコルド・1/30模型。60年代、開発中の1コマ photo by gettyimages

両者の間には、名称を英語表記とするか仏語表記とするかといった対立があったものの(最終的に仏語表記の”Concorde”となりました)、1969年3月に初飛行を成功させ、就航につなげました。

現段階では、歴史上唯一の音速旅客機となっています。

 

音速を支えたコンコルドの技術

全幅25.6m、全長62.1mのスマートな機体で、ターボエンジン4基を持ち、最大速度マッハ2.2。他の旅客機を圧倒するスピードを持っていました。

コンコルドの諸元

  • 全長:62.1 m 、全幅:25.6 m
  • 客席数:100 席
  • 最大離陸重量:185 t
  • 巡航速度:マッハ2.04
  • 航続距離:7,250 km
  • エンジン:軸流圧縮式アフターバーナー付ターボジェットエンジン 4機搭載
  • 生産数:試作2機、先行量産2機、量産16機 計20機

コンコルドは、操縦桿やペダルの操作を機械的に操縦翼(方向舵や水平翼など)へ伝える方法ではなく、すべて電気的な制御による「フライ・バイ・ワイヤ(Fly by wire、ワイヤーは電線を指し、機械的な動きを伝えるケーブルは含まない)」を、初めて取り入れました。

水平尾翼を持たない無尾翼で、旋回などを行う補助翼や、機首上げ・下げを行う昇降舵は、6枚のエレボン(動翼)に集約されました。離陸時や音速航行の際には、エンジンの排気装置に燃料を再度吹き込んで、推力を増大させるアフターバーナー・リヒート(afterburner / reheat)操作で行いました。

【写真】ロールスロイス オリンパス593エンジン
  イギリス製の試作2号機に搭載されていたロールスロイス・オリンパス593エンジン photo by gettyimages

問題点

座席は通路の両側に2席づつ計25列で100席。乗客定員が100人と少ないうえに、航続距離も短く、燃料費も他の機と比べて大幅にかかったため、採算性が悪く、商業的には成功とは言えませんでした。

【写真】客室と機内サービス
  客室と機内サービス。高額な運賃設定が行われる一方、接客面では良質のサービスが提供された。後ろの壁にある速度表示にはマッハ2.04と表示 photo by gettyimages

高燃費、衝撃波やそこからくる騒音(ソニックブーム、sonic boom)、オゾン層破壊などの問題点を抱えていたコンコルドは、運行開始からわずか3年後の1979年6月の量産第16号機で生産が打ち切られることになります。日本でも、日本航空が購入を検討し、仮の発注をしていましたが、後にキャンセルしています。

また、2000年の7月には、量産3号機(1975年製造)がパリのシャルル・ドゴール空港で、他機の落下部品によって破損したタイヤの破片が燃料タンクにあたって引火、墜落炎上する事故を起こしてしまいました。乗客乗員のほか、墜落場所となったホテル滞在者も含めた113人が犠牲となる大惨事となりました。

【写真】2000年のコンコルド墜落事故
  2000年7月に起こった墜落事故。コンコルドは1年以上の運航停止になった photo by gettyimages

この事故を受けて、コンコルド全機がおよそ1年にわたって運航停止、改善策や改修工事に追われました。

退役、そして次代の音速機開発には日本も乗り出す!?

こうした改修の他にも、21世紀の運航に耐えうる改装工事などの案も浮上していましたが、2001年の同時多発テロに影響された航空利用の落ち込みや、航空機関士を不要とするパイロット2人乗務の広がり、そしてかさむ高コストなどの問題から、ついに2003年春に英・仏両国の運航会社から運行終了の発表がなされ、同年10月の最終運航で退役しました。

【写真】ラスト・フライト
  2003年10月23日、ヒースローを離陸するコンコルド。エールフランス機は、英籍機に先立つ同年5月に運用から離脱した photo by gettyimages

試作機を含めた20機のうち、2000年の事故で焼失した1機と、先に退役していた1機(1977年製の量産11号機)を除いた18機が、各国の博物館や空港などで保存されています。

現在では、機体形状に工夫を凝らすことにより、超音速飛行時でもあまりソニックブームを出さない航空機の研究が進んでおり、各国で次世代のSSTの開発が計画されています。

日本でも、文部科学省が科学技術・学術審議会でSSTを検討したり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が技術開発に取り組んだりしています。

  試験台の架上で行われた極超音速ターボジェットの地上燃焼実験 photo by JAXA
  極超音速技術実験機の図面 photo by JAXA

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