地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1927年の今日、分子生物学者で、沖縄科学技術大学院大学(OIST)創設にも携わったシドニー・ブレナー (Sydney Brenner, 1927-2019)が、南アフリカ連邦の北西部ハウテン州に生まれました。
ヨハネスブルグのウィットウォータースランド大学にて解剖学および生理学の修士課程を首席で卒業し、英国のオックスフォード大学で博士号を取得しました。
その後、原子・分子から細胞、組織・器官レベルでの基礎研究を目的としたケンブリッジの英国国立MRC分子生物学研究所に入り、そこで1979年から医学研究協議会長も務めました。
MRC分子生物研究所では、体長1mmほどの小さな土壌動物で、透明な体に単純ながら一通りの多細胞体制をもち、入手や飼育が容易で、生活環が短いため遺伝的な実験にも使いやすいカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)を、モデル生物として確立させました。ブレナーはこの線虫を使って、発生研究、神経系形成などを研究しました。
・カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)
カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)は土壌に生息する雌雄同体の線虫で、生物学的および遺伝学的研究の対象となっている動物です。自己受精によって繁殖する傾向(同一の子孫をもたらす)と、成熟に達するまでの短い時間のため、理想的なモデル生物とされています。ブレナーらは、この線虫をモデル生物として確立させました。
この線虫の研究、とりわけアポトーシスにおける成果を理由に、2002年に、アメリカのハワード・ロバート・ホロビッツ(Howard Robert Horvitz、1947- )と、イギリスのジョン・エドワード・サルストン(John Edward Sulston、1942-2018)とともにノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
ブレナーは多くの研究機関に携わり、2000年代には日本の大学院大学構想による独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の発足にともない、その初代理事長に就任。2009年には沖縄科学技術大学院大学を開学させました。