男性の収入は「遺伝」でこれだけ決まるという「冷酷すぎる現実」

それでも私が楽観的でいられる理由
安藤 寿康 プロフィール

収入の個人差と遺伝の影響

そもそも収入の個人差に及ぼす遺伝の影響とは、何なのだろうか。

そこにはどんな職業を選ぶか、就いた仕事の中でどれだけ必要な知識を学んだりスキルアップできるか、日々勤勉に働き続けることができるか、その仕事ぶりが同僚や顧客などに評価され、仕事のチャンスが飛び込んでくるような良好な人間関係を築くことができるか、学んだ知識やスキルや人脈を使って他の人が気づかないような新しい事業をひらめく先見の明とチャレンジ精神があるか、仕事がうまく行かなくなったときにもよい打開策が思いつけるか、なによりその仕事に魅力を感じ続けることが出来るか……枚挙に暇がない。

 

これを読んでいるあなたにも、あなたなりの仕事の成功の秘訣や失敗の理由が思いつくことだろう。

そのすべての側面に、あなた自身の遺伝的素質が関わっている。なにしろあなたのすることなすこと、考えること感じること、好き嫌いの判断のどの瞬間にも、多かれ少なかれあなたの遺伝子たちの姿が顔をのぞかせていたのだ。

その上で、それを支えてくれる(あるいは逆らってくる)特定の環境要因、そして偶然の出会いが関わっていたはずである。

〔PHOTO〕iStock

このうち遺伝的素質というのが最も気づきにくいだろう。何せあなたは自分の遺伝的素質を自分の意思で変えることができない。変わらないものは気づきにくい。自分でよくわかるのは環境の変化に伴って変わる部分だけである。配置換えや転職で仕事環境が変わったおかげでいい仕事が出来るようになった。クズみたいな上司が飛ばされ、代わってすばらしい上司が来てくれた。突然理不尽なリストラにあい、路頭に迷うことになった……人生はかくのごとく環境の変化に翻弄されている。

とはいえ、あなたの遺伝的な素質を見極めるヒントも、これまでのあなたの人生経験の中に折に触れて顔をのぞかせていたはずだ。なにしろ「あらゆる行動は遺伝的」だからである。自分自身のこれまでをふり返ってみてほしい。

昔からつい気になってしまうこと、なぜか好きで好きでたまらないこと(あるいはいつも嫌悪感を抱いてしまうこと)、たいした努力や経験を積んだこともないのに、なぜか人並み以上に出来てしまうこと(あるいは人並み以上に努力しても成果が得られないこと)、何度も失敗を繰り返しながら全然改善されないこと、まだやったこともなければ成し遂げてもいないのに、何をどうすればそれが出来そうかが心の中に思いついてしまうようなことがあったはずだ。もし自分で気がつかなくとも、知人や上司から指摘されることがあったかもしれない。