中国の若者たちが死に物狂いで働き続ける「凄まじい理由」

流行語「996」から考える
青樹 明子 プロフィール

2019年、大学卒業者は834万人に上り、これに中途採用者も加われば900万人以上の若者たちが就活戦線に参入する。2018年就活生の数は820万人なので、一年で15万人ほど増えている。

就職試験で最も凄まじいとされるのは、「公務員試験」である。2020年度は基本的な資格審査を通過した143万人が、2.4万人の枠を目指して試験に臨んだ。単純計算で競争率は60倍である。

そして結婚も競争である。

中国では独身者の数が膨れ上がり、2018年の統計によると、中国の独身人口は2.4億人で、これはイギリスとロシアの全人口を合わせた数字に匹敵するのだそうだ(中国統計年鑑より)。

〔PHOTO〕iStock
 

日本人は覚悟できているか

中国には「赤い靴症候群」という言葉がある。アンデルセンの童話「赤い靴」を模した言葉だ。

教会に赤いエナメルの靴を履いていったのを咎められ、呪文をかけられてしまい、赤い靴が勝手に踊り始めてしまう。靴を脱げないまま夜も昼も、雨の日も風の日も、ずっと踊りつづけなければならなくなった。誰も助けてはくれない。少女は疲れて疲れて、疲れはてたあげく……。

余裕のない現代人は、まるで赤い靴を履いて、休み無く踊り続けなければならなくなっているのである。

中国人は、若い時代に健康と時間をお金に換えて、老いた後はそのお金で健康と時間を買う、という考え方が主流である。しかし同時に、人々は心をすり減らし、お金で買えない時間を永遠に失う。

競争は社会の発展を押し上げる。その波に乗って、世界中で力を発揮する中国人だが、彼らは望むと望まないとは別として、踊り続けることを運命づけられている人たちでもある。そんな彼らと、共存しなければならないとしたら、我々日本人は、覚悟して臨まねばならない。

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