中国の若者たちが死に物狂いで働き続ける「凄まじい理由」

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青樹 明子 プロフィール

ほとんどがサービス残業

こんな苛酷な状況は、中国の都市部では、私営企業を中心に浸透し始めている。私の友人は、IT企業ではないが、あまりの忙しさに簡単に会うことすらできない。

「土日も含めて、毎日残業なんです。夜8時過ぎなら、ちょっと食事してきますと言って、30分ほど抜けることができるかな?」

中国の場合、ほとんどがサービス残業である。

中国の友人たちと食事をしていると、携帯が頻繁に鳴り響く。なかには、突然チャットを始める人もいて、食事中に友達とチャットするのか……と驚いたが、遊びのチャットではなく、緊急に仕事の会議が始まってしまったとのことだ。

休暇中に家族で海外旅行していたとする。しかし休暇の真最中でも、中国版LINEのWeChatに仕事連絡が入り、すぐさま処理しなければいけない仕事が出来てしまったりする。休暇にならない。

〔PHOTO〕iStock
 

想像を絶する熾烈な競争

それにしても、なぜ彼らは命を削るようにしてまで、働くのだろう。

その背景には、我々が想像もできないくらいの熾烈な競争がある。分母は14億で、その中で勝ち残るためには、人より多く努力をしなければならない。

競争の多くは、若者たちの間で繰り広げられている。ほとんどが一人っ子の彼らは、生れ落ちたらそこは天国だった。しかしそれもほんの1、2年で終わり、2歳を過ぎた頃から、過酷な競争に身を投じなければならない。

幼稚園から始まる“お受験”は、すべて有名大学へ入るためだ。

ゆとり教育の真逆を行く受験戦争で、2019年度大学入試(直近)では、志願者数1000万人を超え、過去最高を更新している。

大学生が「国の宝」だった時代、「大学を出れば」就職に困ることはなかった。しかし今は違う。恐ろしい就職難が待ち受けていて、就職戦線には「(今年は)最難関」という言葉は存在せず「より困難」という形容がずっと続く(“没有最難,只有更難”)。

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