米国・イラン激突危機…こんな時に自衛隊を「中東派遣」して大丈夫か

日本とイランが「交戦」の可能性もある
半田 滋 プロフィール

自衛隊も攻撃対象となる

安全保障関連法では、自衛隊による対米支援は米国などの戦争をめぐる以下の3つの事態で実施可能となる。

(1)日本の平和と安全に関わる場合=重要影響事態
(2)国際社会の平和と安全に関わる場合=国際平和共同対処事態
(3)日本の存立が脅かされる場合=存立危機事態(集団的自衛権行使) 

(1)や(2)の事態で実施が想定されるのは、米軍への後方支援活動だ。具体的には、弾薬や燃料、食糧の提供・輸送、武器の輸送、負傷した米兵の救護などが実施可能。例えば、米軍が戦闘中であっても「現に戦闘行為が行われている現場ではない」と日本政府が認定さえすれば、自衛隊はいつでもどこでも全面的に米軍の後方支援ができる。

 

当然ながら、反米勢力からすれば「自衛隊は米軍を支援する敵」となる。そうなれば自衛隊が攻撃対象となるのは火を見るより明らかだ。安倍首相にとって「隊員の犠牲」は折り込み済みなのかもしれない。

(3)の存立危機事態をめぐり、安倍首相は安全保障関連法案が議論されていた2015年の通常国会で、「唯一の事例」として「ホルムズ海峡の機雷除去」を挙げた。

当時、核開発を続け、国際社会から孤立していたイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、原油の8割を中東に依存している日本は存立の危機を迎えるというのだ。

野党は第1次オイルショック後に制定された石油備蓄法にもとづき、日本には官民合わせて200日分を越える石油備蓄があり、ただちに存立の危機にはならないと指摘したにも関わらず、安倍首相の主張が変わることはなかった。

ところが、驚くべきことに安倍首相は通常国会の終盤、ホルムズ海峡の機雷除去について「現実問題として発生することを具体的に想定しているものではない」(2015年9月14日、参院平和安全法制特別委)と、これまでの主張をちゃぶ台返しするという離れ業をやってのけ、イランとの関係修復に走った。

とはいえ安全保障関連法案は強行採決され、存立危機事態における他国防衛、すなわち集団的自衛権行使は、「違憲」との歴代政権の見解を覆して「合憲」となったのである。