酒に酔い、担ぎ込まれて「日銭を奪われた」冗談のようなマジな話

魔窟に踏み込んでしまった…

高木です。早いもので2020年を迎えました。この年末年始、いかがお過ごしでしたか? 忘年会や新年会で痛飲された方も多いのではないでしょうか。痛飲といえば、駅のホームや電車内で楽しそうに話している、あるいは辛そうに項垂れている酔っ払いの人たちを見ると、ときたま思い出すことがあります。

調子に乗って、もう一杯

今から15年くらい前の、2000年代も半ばの冬の出来事です。この頃の私は、大学時代の先輩とほぼ週一で飲み歩いていました。彼は人生のベストムービー第一位が『タクシードライバー』、二位が『バス男』という乗り物映画大好き男なので、以下略してノリオと呼びます。ノリオとは上野近辺の安い居酒屋を二・三軒まわるのが常でした。

しかしその日はノリオが「たまには俺の家の近くで飲みたい」と言いだし、方向音痴の私は面倒だなと思いながらも珍しく隣の県まで遠出したのでした。

 

初めて降りたノリオの住む町の駅前は、赤ちょうちんやら、ラーメン屋やら、カラオケスナック店でひしめいています。麻雀であればさしずめ簡単に役が揃いそうな繁華街の適当な安居酒屋に入り、茹でピーナツをつまみにビールで乾杯、二杯、三杯とそれに続きます。

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そのうちノリオが「寒いから」と熱燗を頼みだし、いい感じに酔った我々は勢いよくそれをグビグビ。テーブルの上には空になったお銚子が五本、六本と次々に並び、酔いが回ったノリオが「お前はどうせ何者にもなれない」とか「何やっても駄目だ」とか、いつものようにくだを巻きはじめました。

それを「またかよ、うるさいなあ」と適当に受け流し、人の悪口なんかで話が盛り上がる間に気づけば0時すぎ。客は数組を残すばかり。いつもならば「もう一軒」と調子に乗ってハシゴするところですが、私には終電が、ノリオには翌朝の仕事があるため、我々はおとなしく会計を済ませ、駅に向かって歩き出しました。