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アメリカとイラン「誰も望まない戦争」の恐ろしい予兆

ジャーナリスト松富かおりはこう考える

「世界の火薬庫」と化した中東

イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカによって殺害されたことで、中東はこれまでにないほど緊張が高まっている。

<ソレイマニ司令官殺害>

カセム・ソレイマニ司令官は、イランの最高指導者ハメネイ師直属のイラン革命防衛隊の中でも精鋭部隊と言われる「コッズ部隊」の司令官で、主に海外でのオペレーションを率いてきた。

米軍は、ソレイマニ司令官が、イラクの首都バグダッドの国際空港に到着するとの情報を得て、現地時間の2020年1月3日未明、無人機による精密攻撃で司令官を殺害した。司令官はレバノンからのフライトで空港に降り、車に乗り込んだばかりだった。

この攻撃に関し、トランプ大統領は「彼は多くのアメリカ人殺害を計画していた」とツイートし、ポンペオ国務長官はアメリカの複数のメディアのインタビューに「今回の軍事行動は、米国国民を危険に晒す『差し迫った攻撃』を食い止めるためのものだった」と答えている。

 

また、米国務省高官によると、「ソレイマニ氏は、イラク、シリア、レバノンで攻撃を計画し、実行されれば、(外交官や兵士など)数百人のアメリカ人が殺害される可能性があった」という。

米国務省によれば、2019年12月、イラクの米大使館が暴徒により襲撃され、不穏な空気の中で新年を迎えることになったが、この事件も、またさらに、2019年の秋以降に行われたイラクに駐留する米軍への10回以上の攻撃にもソレイマニ司令官が関与していたという。

アメリカは、この数年で中東でのイランの影響力拡大を推し進めてきた中心人物がスレイマニ司令官だったと見ている。

ソレイマニ司令官の死を悼むイラク国民  photo by Gettyimeges

<イランの受け止め方>

実際、IS(イスラム国)掃討を口実にイラクで親イラン民兵組織が活発化し、イランの影響力がイラクで増していたが、その中でソレイマニ司令官が果たした役割は大きかった。

歴戦の勇士であり、国民から英雄視されていたソレイマニ司令官を失ったイランのダメージは大きい。

ハメネイ師は3日、ツイッターで「血で手を汚した犯罪者には厳しい報復が待っている」と復讐を示唆し、ロウハニ大統領もまた、「イランは必ず復讐を行う」との声明を出した。