米軍に殺害されたソレイマニ司令官〔PHOTO〕gettyimages

イラン司令官殺害で衝撃の幕開け…この世界は一体どこへ向かうのか

世界の武力紛争情勢と漂流する日本

ソレイマニ司令官殺害で幕を開けた2020年

2020年は、アメリカが遂行したイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官の殺害作戦で幕を開けた。

現地時間の1月3日にイラクのバグダッド空港で行われた標的攻撃では、イラクのイスラム教シーア派(Shiite)武装勢力の連合体「人民動員隊」に属する親イランで知られるシーア派民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」(神の党旅団)の指導者のアブ・マフディ・ムハンディス氏も同時に殺害された。

年末から1月1日にかけて、イラク首都バグダッドでは、アメリカ大使館が「カタイブ・ヒズボラ」の旗を掲げた抗議デモの暴徒によって襲われていた。12月29日にアメリカ軍が「カタイブ・ヒズボラ」のイラクとシリアの拠点5カ所を報復空爆したことへの抗議デモであった。

アメリカの攻撃は、12月27日にイラク北部キルクークに近いイラク軍基地が攻撃された際、米軍関係者が犠牲となったことへの対抗措置であった。

アメリカとイランの双方が、相手を驚かせるような報復措置をとり続け、ギャンブル気味の抑止政策を追求し続けているように見える。

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これに先立つ2019年12月27日、日本政府は自衛隊を中東の周辺海域に派遣することを閣議決定していた。

「安全確保に向けた情報収集態勢を強化するため」で、防衛省設置法4条の「調査・研究」に基づく派遣となる。哨戒ヘリ搭載の護衛艦1隻、ソマリア沖で海賊対処に当たるP3C哨戒機2機が、投入されるという。活動海域は、オマーン湾、アラビア海北部、イエメン沖バベルマンデブ海峡東側のアデン湾の公海だとされる。

2017年に南スーダンの国連PKOから自衛隊部隊を撤収してから、主だった自衛隊の海外活動を控えていた日本としては、久しぶりの新たな自衛隊の海外活動である。

気になるのは、アメリカの呼びかけに応じながら、イランを刺激しないようにした活動領域で、「海上警備行動」発令をにらみながら「調査・研究」活動をするという、恐ろしく曖昧な位置づけの派遣になっていることである。

21世紀の世界では、米中の超大国間対立、終わりなき対テロ戦争、そして権威主義体制に抵抗する民衆運動が、世界各地で様々な混乱をもたらし続けている。

日本は、相変わらず冷戦時代の発想にとらわれた玉虫色の狡猾外交を常に追い求めているようにも見える。それで果たして21世紀の国際情勢の荒波を乗り切っていけるだろうか。2020年初頭にあたって、考えてみたい。