トランプ突然の「イラン攻撃」が、安倍外交を窮地に追い込むまで

米国とイラン、どっちに付いても…
松岡 久蔵 プロフィール

米国に「大義」はゼロ

日本政府は石油資源確保などの目的から、中東の不安定化を避けるべく中立的な立場をとっている。米国の意に反してイランの側に立つことはできないが、かといってイランを見捨てると、今後の日本の中東における立場が危うくなる。国際関係に詳しいベテラン記者は、日本政府が置かれた厳しい状況についてこう解説する。

 

「安倍首相が、国際政治の『ジャイアン』たるトランプ大統領の強引さをどういなせるかがカギになる。従うように見せながら、実際は距離を置くという、相当難しい舵取りを強いられることになるわけです。

もし米国がイランに対して全面戦争をしかけるなら、国際社会では大義ゼロの戦争とみなされます。今回の要人暗殺は、昨年12月31日に発生した、イラクの米大使館への親イラン派デモ隊による襲撃に対する報復ということですが、中東の混乱のそもそもの発端は『イラクやイランが大量破壊兵器を保有している』というウソの口実で米国が侵略したからで、言うなれば因縁をつけているだけです。米国内世論の支持は得られるかもしれませんが、国際社会の理解は得られない。

イラン最高指導者のハメネイ師(中央)と革命防衛隊の幹部(Photo by gettyimages)

そうした状況下で、日本が完全に米国の『ポチ』になってしまえば、中東諸国から見れば日本も『ギャングの一味』であるとの評価を受けざるをえない。ことが落ち着いても後ろ指をさされ続け、もはや関係修復は難しくなるでしょう」

日米の距離感が近くなりすぎれば、中東現地邦人の拉致や、大使館、JICA事務所の占拠など、日本人がテロの標的にされることも十分にあり得る。