中国は本当に特殊なのか? 揺らぐ「民主主義と市場経済」の優位性

ビッグデータが突きつける先進社会の姿
野口 悠紀雄 プロフィール

しかし管理社会の危険も

しかし半面で、これはプライバシーの侵害という問題を引き起こした。これが、信用スコアリングや顔認証について、現実の問題となりつつあることだ。

それは、管理社会や独裁政治を可能とするものだ。とくに中国の場合には、少数民族対策や反政府的な考えの人々を取り締まるために使われる危険が大きい。

これは、中国がこれから直面していく問題である。あるいは、すでに直面している問題である。

ただし、ITやAIがもたらす問題は、中国だけが抱えているものではない。自由主義経済と民主主義政治を基本にする国家においても、問題が生じつつある。

 

ビッグデータを用いたプロファイリングが行われ、これまではターゲティング広告に使われてきた。その利益は、GAFAを代表とする一部の巨大プラットフォーム企業に集中した。これがいま問題とされ、ビッグデータ利用の規制やデジタル課税の論議を引き起こしている。

さらに、より明確なマイナス面も顕在化している。

それは、スコアリングやプロファイリングが悪用され始めているからだ。ケンブリッジアナリティカという調査機関によって、フェイスブックの情報が悪用され、アメリカ大統領選において利用されたという問題が生じた。

日本でも、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の内定辞退率を予測したデータを企業に提供していたという問題が起きた。