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中国は本当に特殊なのか? 揺らぐ「民主主義と市場経済」の優位性

ビッグデータが突きつける先進社会の姿

いかなる技術も、プラスとマイナスの側面を持っている。

中国との関係でとくに問題となるのは、「AIやビックデータという情報関連の新しい技術に関して、中国の社会構造が有利に働くのではないか」ということだ。これは、未来世界の基本原理に関わる根源的な問題を提起する。

 

中国では市場経済のインフラが未発達だった

伝統的な地域社会においては、その構成員は、お互いのことをよく知っていた。しかし、それは自由が束縛される社会でもあった。

人々が都市に住むようになって、自由な社会が作られた。

それは、半面において匿名社会でもある。そこでは、取引相手についての情報を十分には得られないという問題が生じた。

これは、経済学で「情報の不完全性」とか、「情報の非対称性」として問題にされてきたことだ。

市場取引を行うためには、相手のことを知り、信頼できるかどうかを評価することが必要だ。情報が不完全な社会で、これをどのようにして行なうかが、近代社会の大きな問題だった。

中国では、とりわけこれが大きな問題であった。社会主義経済が長く続いたことから、市場経済のインフラストラクチャーが未発達だったからだ。

アリババが作ったeコマースのサイトタオバオで、最初はオンラインだけでは取引が完結しなかったというエピソード(11月10日公開「アリババの強さの秘密、その独自のビジネスモデルを分析する」参照)が示すように、信頼に基づく取引ができないような社会だったのだ。

また、多くの人が金融サービスにアクセスできなかった。