ジャーナリストの島沢優子さんは、教育の現場を長く取材してきた。自分たちが「された教育」だけを指針とするのではなく、正しい知識をもって「子どもが本当に伸びる子育て」を考える連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」。

今回は中学受験に向けて多くの親たちを悩ませてもいる「塾のお弁当」について。

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コンビニ弁当とカフェのコーラ

屋外ではないものの、店頭にあるオープンスペースのテーブル。夫と私の隣にその子は座った。見た感じは小学3年生くらいの男の子。プラスティックの蓋をパカパカと音をたてながら開く。よくある短めな割り箸を割って、黙々と食べ始めた。手が冷えるようで、時折、はーっと息を吐いて手を温めていた。

中身はコンビニの焼き肉弁当。白い紙コップはカフェで購入したコーラだった。

ちなみにそのときのお弁当は焼肉だけがのっているコンビニのお弁当だった Photo by iStock

寒い季節になると、この小学生を思い出す。駅近くにある大手学習塾のロゴ入りバッグを抱えていたので、塾へ行く前の夕食を取っていたのだと思う。

この日、見てきたことをそのままSNSに短く投稿し「せめて手作り弁当をと願う」と結んだ。フォロワーはそう多くないのに、数々のコメントが並ぶとともに、メッセージまで舞い込んだ。

かわいそう、不憫、といった声とともに、かつて中学受験をしたわが子に塾弁を持たせていた女性はこう書いてくれた。

「息子が小学生で塾いきだしたときに、О弁当(弁当屋さんの名前)食べさせたら、すごい勢いで太って来たので、あわてて私がつくった弁当持たせたけど、仕事帰ってきてからつくるから、夕飯タイムに合わせて届けたり大変だったなあ」

そうだよね。働く親は大変だよね。あの男の子のお母さんやお父さんは、日曜出勤の仕事をしている人だったのかもしれない。
女性はこう続けた。

子どもカフェコンビニ弁当の問題は、コンビニ弁当なことにあるのか。小3がひとりでカフェに避難して弁当を食べなきゃいけない状況にあるのか。そこまでして塾にいかなきゃいけない社会そのものにあるのか。むずい