フランスの出生の40%が非嫡子

夫婦といったが、赤ちゃん誕生に関しては同棲カップルも夫婦とちがわない。フランスでは、赤ちゃんの40%が非嫡子として生まれる。結婚していようがいまいが、男女が愛し合い、子供を持つ決意をすれば、生まれてくる赤ちゃんの処遇にちがいはない。ちなみにわが国の場合は、赤ちゃんの99%が、法的に結婚した夫婦から生まれる。

フランスでは14歳未満の子供は、総合病院にはお見舞いにいけないことになっている。町のホームドクターや小さいクリニックならOKだが、大きな公立病院などはご法度。院内に充満する病原菌が、抵抗力の弱い子供に感染する危険を避けるためである。だから、ママが赤ちゃんを産んでも、幼いお兄ちゃんやお姉ちゃんは、残念ながら面会にいくことができない。パパだけが足繁く通い、ママの必要なものを届けたり、話し相手になったりする。そして産婦が入院している1週間に、夫婦の親兄弟や親友が大挙し、彼女と赤ちゃんの誕生を祝ってお見舞いに病院を訪れるのである。

赤ちゃんを産んだママたちにとっては、病院にいる1週間がモラトリアム期間になる。この1週間が明けて帰宅した暁には、めまぐるしいばかりの毎日が待ち受けていることを、だれもが知っているからだ。ママの枕元には退院までに、持ちきれないほどのぬいぐるみやベビー用品がたまることになる。そして自宅では、赤ちゃんベッドが置かれるのは、新生児のうちから子供部屋だ。

働くお母さんの産休の取り方は、人それぞれだ。バカンス期間と続けて取ることで、半年近くも会社が休める女性もいる。フランスの子供のお誕生日が7月に集中しているのも、そのためなのである。

母親の産休が明けたら、新生児でもギャルドリーと呼ばれる託児所に預けられる。深夜の授乳も、ママが仕事場に復帰するころまでにはなくなる。フランスでは、新生児といえども子供として、夫婦の寝室から締めだされる。まちがっても夫婦と子供が川の字になって寝ることは、フランスでは考えられない。

子供たちはひたすら、ドアの向こうのパラダイスに憧れ、一日も早く大きくなりたいと願う。パパとママみたいに、大きなベッドで裸で愛し合いたいばかりに。

子供は「夫婦で育てる」が当然。その前提で社会もカップルもいることで、「一緒に育てる」がやりやすくなることはあるはずだ Photo by iStock
お金がなくても平気なフランス人、お金がなくても不安な日本人』日本が大好きだから、そしてフランスも大好きだから、そのいい所を思う存分真似したら、もっと幸せになるんじゃない? 底抜けに明るく優しく、かつ鋭い視点をもつ吉村葉子さんが20年間のフランス生活を振り返ってまとめたエッセイ集。考え方ひとつで不幸だと思っていたことも幸せになるし、人生は楽しくなる! その中から厳選したエッセイを特別に今後も限定公開予定。お楽しみに!