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医学部入試で出た「猫を轢いても無罪」問題、あなたはどう答えますか?

「人の規則」と、いのちの重さ

昨夜、猫を轢いた

昨年11月、「医学部入試で出た『他人のおにぎり問題』あなたはどう答えますか?」という記事を当サイトに公開した。私にも予想外の大きな反響を得て、多くの読者の方にお読みいただき、議論していただいたようだ。

あまり知られていないが、実は医学部入試には、この「他人のおにぎり問題」のような不思議な問題がたくさん出されている。今回は第2弾として、「猫はモノなのか」という問いを皆さんと考えてみたい。

さっそく問題を見てみよう。以下のような極めてシンプルなものだ。

 
次の短歌を読み、あなたが感じたこと・考えたことを600字以内で記述せよ。

昨夜猫を轢き殺したるわれにして人の規則に許され働く

[高山邦男『インソムニア』より引用]


(2019年1月31日実施 愛知医科大学医学部医学科小論文問題)

シンプルすぎてなかなか捉えどころのない問題である。これを詠んだ高山邦男さんは、「タクシードライバー歌人」として知られている。おそらくは、高山さんが仕事中に猫を轢いてしまった実体験から作られた短歌なのかもしれない。

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実際に当日、この医学部の2次試験を受験した教え子の情報によれば、試験会場には少なからず驚きの声やため息がもれ、答案の回収の際にも、原稿用紙が十分に埋まっていない受験生が心なしか多く感じられたという。

日頃、世の中のこと、社会のこと、医師を目指すうえで生命(いのち)のことなどに真摯に向き合い、自分なりに見つめていなければ、容易には答えられない問題である。それは簡潔な1行の短歌の中に、奥深い思想が盛り込まれ、果てしない世界が広がっているからだ。