世界の中心へ!井上尚弥の父が語る❝自分にしかできないこと❞

世界を制するために必要なこと(後篇)
ボクシング井上尚弥選手を育て上げた、父親でありトレーナーの井上真吾氏の年末特別インタビューを実施。2019年11月7日に行われた、WBSSバンダム級決勝・WBCバンタム級王者統一戦の2試合を振り返る。世界を制するため必要なこと、今後の展望とは?前篇はこちら

しばらくはバンダム級で戦い続ける

――体を見て、ドネアの方が1階級上の体格かなと思いました。試合時の体重も、ドネアが1キログラム重かった。そもそも尚弥さんは計量日の前にリミットを切ったように、ちょっと体格的に小さいのかな、そこが不利にならないかなと心配したのですが、陣営としては試合をしていて、体格のハンデは感じなかった?

真 練習で動けて、ちゃんと食べれて、その上で順調に体重を落としてこれた。それは調子がいいということだから、特に体格差を感じることはなかったです。体格差のせいでパンチが効かないな、とも思わなかったし、こちらも、ドネアに効かされたわけではなかった。

2ラウンドでも、切れたのがやばかっただけでそれ以上のことはなかったし、練習でやってきたことも出せていた。あんだけのカットをして、片目がほとんど見えなくなって、それでもあのドネアに勝ったわけですから。
そんだけの練習をしてないと、あんなアクシデントがあったのに、そんだけのところまでは行けないですよ。

――ということは、尚弥さんは、今のバンタム級が適正?

真 尚もそう言っていますよね。自分もそう思います。

――では、しばらくは、まだバンタムで戦ってゆく?

真 そうですね。

――とすると次の相手は? 先だってのリングでは、拓真さんを破ったウバーリ(現WBCチャンピオン)とやりたいとおっしゃっていましたが、その後、ジョンリール・カシメロ(現WBOチャンピオン)とやるという話も。

真 ウバーリって・・・・・・お前いいとこ持ってくんじゃねえよ、って思いますよね(笑)。拓だってリベンジしたい気持ちはあるだろうし。ま、そこは大橋会長が考えてくださっていると思うので、われわれは決められた相手と戦うだけです。

自分的には、ウバーリにはチャンスがあれば、拓にリベンジしてもらいたいな・・・・・・という気持ちはあります。そこで拓の成長を見たい。

だから再起戦も手慣らしの相手ではなく、より早く成長できる相手、具体的に言えば世界ランカーとか東洋チャンピオンクラスの選手と試合をできるように大橋会長にお願いしました。

足踏みはしてらんないですから。

父親・トレーナーとしてのジレンマ

――いっぽうお兄さんは、世界中から注目される存在になりました。

真 それは尚が出した結果ですから。でも拓だって指くわえて見ているわけにはいかない。

――親御さんとしては、お兄ちゃんはすごい試合をして勝った一方、弟さんの方は負けてしまったというのは、気持ち的にどうでしょう? 

真 勝ち負けについてはしょうがない。結果は受け入れてるんで。

ただ、尚は周りからもてはやされる一方、拓は・・・・・・というのは、やっぱり親としてはつらいものがあります。

やっぱり二人とも同じようなステージにいないと、複雑だし、ジレンマもあるし、自分的にはいやですね。

――その尚弥さんですが、「お父さん卒業」でしょうか?

真 (怪訝そうに)お父さん卒業?・・・・・・それってどういう意味ですか?

――選手としての井上尚弥は、もう自分の手を離れた、教えることはなくなった、と言いますか。

真 「教えることがなくなった」・・・・・・は違うんじゃないですか? 例えば練習で気持ちが抜けたらとか、アドヴァイスするところはいっぱいあるんで。