2019.12.31
# エンタメ

2019年メガヒット、King Gnuが極めて「邦楽的」と言える理由

彼らの音楽の人気の「反面」を考える
伏見 瞬 プロフィール

King Gnuの音楽は「日本の大衆音楽」の規範をお行儀良く守っているが、「何が優れた大衆音楽か」という独自の価値判断を示しているとは言い難い。結果、「多くの人に認められれば正義」のポピュリズムと「古典が偉い」の権威主義との癒着の印象が彼らの音楽には残る。

 

『白日』だけの偶然ではなく、たとえば『Slumberland』の表面的なメディア批判(ニュース番組を模したMVではその浅はかさがより顕著に出る)や、新曲『Teenager Forever』の等身大賛歌にも同様の(言葉と音、時には映像がくっつきあう)癒着的傾向が見られるところを鑑みれば、彼らの表現全般が、ポピュラリティと権威への迎合を示していると判断せざるを得ない。

先日発売されたばかりのロッキングオンジャパン最新号のインタビューでKing Gnuのメンバーはタイアップ仕事の多さについて語っているが、今の彼らの楽曲は広告会社が背負う資本のルールの内側で閉塞していると捉えることもできる。

紅白歌合戦を経て、彼らはより大きな景色を見る。そのとき、ヌーの群れの王様が、群れから切り離された孤独な場所で「自分達だけの大衆音楽」を探し始め、多様な個人と個人を繋ぐ「ポップ・ミュージシャン」となり得るか。力量が試されるのはこれからだろう。

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