井上尚弥の父が語った…ドネア戦で見えた、その強さを支えるもの

世界を制するために必要なこと(前篇)
井上 真吾

ライトフライ級の試合で足がつった時も焦りましたが、さすがにあそこまでの傷を負うとは想定していなかった。

その時、自分が考えたのは、傷を打たれて、さらに血が流れてストップ負けになることでした。頭じゃなくてパンチでの傷でしたから、そうなったら尚のTKO負けになってしまう。だからとにかく、パンチをもらわないように、ジャブ、ジャブで突き放せと。

右を打とうとしても、相手が前と後ろに二重に見えていたみたいで、どっちを打てばいいかわからなかったそうです。そんなで躊躇してパンチを出してたら合わせられてしまう、それで右も出しづらくなってしまった。

 

――さすがに、あらゆるケースを想定して練習してこられても、あそこまでは想定されていなかった。

真 (しみじみ)そうですねえ。

たしかに、カットはあり得るじゃないですか。でも実際に目の前で、あそこまでぱっくり傷が開いているのを目にすると・・・・・・想定はしていても、やっぱり「えーっ!」となりました。アマの時から、一度も切ったことはなかったので。

試合の前、尚と拓を呼んで言ったんです、もし万が一、効いたパンチをもらったら、まあ、そんなことはまずないと思うけど、もし万一、効いたら、無理しないで膝をついて休めよと。そこで変に頑張ってさらにダメージをため込んでしまうよりはその方がいいぞ、そんな話も一応してるんですよ。

でももう、実際、傷がぱっくり開いたのを見ると、準備していた気持ちなんか飛んじゃった。

「まじかー!?」って。