「ジョージア」のCMで起きた「ジェンダーの描かれ方」の大転換

日本のCMに起きている変化
森山 至貴 プロフィール

夫婦のあいだでの家事分担だけではない。「女らしさ」を押し付けるテレビCMの問題は親子のあいだの気遣いによっても解決されようとする。有吉弘行が「風邪でも、絶対に休めないあなたへ」と視聴者へ呼びかけながら風邪に苦しむ間に、体調の悪い松嶋菜々子は「あとは私に任せて」と言う頼もしい娘に料理をまかせて、パブロンを飲んで休むのである。

もちろん、「だから女性は甘やかされている」と言いたいわけではない。「母親は何としても家事を遂行すべし」という規範がCMの中で解除されていること自体は、当然望ましいことだからだ(他方、有吉を休ませない会社や社会の問題については考えなければならないだろう。ある意味でこれは、会社を休むことを何としても回避するよう男性たちに強いる、「男らしさ」の押し付けの一形態かもしれない)。

ポイントはここだ。テレビCMにあらわれる「女らしさ」の問題、ジェンダー化された商品の問題は、「家族(の絆)」という方向に向かって解除されていくことがかなり多い。「女らしさ」にまつわる問題のうち大きなものの一つは家事労働の負担の重さなので、これは当然である。家事負担の偏りに対処するには家族で分担するしかないわけで、この変化に対応しそれを後押ししようとすれば、必然的にテレビCMは家族の協働を描くものになる。

 

援軍となる、すなわち結果として女性の家事負担を減らすような動きは、「男らしさ」と結びついた商品にも訪れている。すき家のCMに典型的なように、「男が掻き込んで食べるもの」としての牛丼が家族で食べるものとして描かれるようになったことで、食事を作る女性の負担は減っているとも考えることができる。

もっとも、すき家のうな丼やカレーライスのCMでは、ワイシャツノーネクタイのいかにも「昼休みのサラリーマン」といったキャラクターが登場し商品を食べることが多く、いまだに牛丼屋のメニューはジェンダー化されてはいるのだが。