2020.01.04

日本人の「自尊感情」は30年下がり続けている…数字で見る驚きの事実

この国で何が起きているのか
小塩 真司 プロフィール

しかし、幸いにも、私たちは過去に行われた研究を参照することができます。

心理学では、調査で用いる「測定ツール」を開発することが重要な研究のひとつになっています。自尊感情についても同じで、心理学者たちは自尊感情をより確実に測定できる複数の質問項目のセットを開発し、それが論文に掲載されています。そして一度ツールが作られると、研究者たちはそのツールを使って「自尊感情を測定」していきます。

 

過去の研究の「平均値」を集める

今回用いたのは、少し仰々しい名前ですが「時間横断的メタ分析」と呼ばれる研究方法です。この方法では、すでに公刊されている心理学の論文に注目します。全ての論文というわけではないのですが、多くの論文には、測定ツールを用いて測定された「心理尺度」の基礎的な情報として、それぞれの得点の平均値が記載されています。

研究者たちは自分たちが測定した自尊感情の平均値を論文に痕跡のように残していくというわけです。そこで、遺跡を発掘するように、論文に掲載されている平均値を集め、比較可能なように調整を施しつつ年代順に並べていけば、その得点の時代変化を描くことができるというわけです。

なおメタ分析というのは、論文に記載された統計的な数値を集めて統合する研究手法のことです。メタという言葉には「高次の」「超えて」といった意味があります。メタ分析というのは複数の分析結果を集めて、より上の観点から現象を検討するという研究方法を意味します。

自尊感情を測定する尺度にはいくつかの種類がありますが、世界中で最もよく使われているのは1965年にローゼンバーグが発表した自尊感情尺度(Rosenberg, 1965)です。この尺度は日本語にも翻訳され、多くの研究で用いられています。

多くの研究で使われているということは、それだけ多くの平均値が論文に記載されているということになります。さらに、この尺度が日本でよく用いられるようになったのは1980年代以降ですので、そのあたりからの時代変化を検討することができます。

関連記事

おすすめの記事