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恋人選びで「男は見た目、女は経済力を重視する」説は、本当なのか

進化心理学を適切に扱うために

よく分かりません

恋人や結婚相手を選ぶときに「男は見た目を、女は経済力を重視する」「そうした傾向は、男性と女性の『生物学』的な特徴に由来している」と言われることがあるが、果たしてそれは本当なのだろうか——タイトルを見て本記事に飛んできた方には大変申し訳ないのだが、回答は「よく分かりません」である。

もう少し丁寧な回答をするならば「諸外国ではそうみたいだが、日本では何か違うことが起きているかもしれない。しかし詳細を知るにはまだ調査が必要で、今やってる」となるだろう。何ごとも結論だけ知っておけば満足という方は、ここで読むのを止めていただくのが良いかもしれない。

本稿ではしかし、結論だけを手に入れようとすることの危うさについて、少し考えてみたいと思っている。

 

「配偶選好」って何?

「配偶選好」という言葉がある。英語のmate preference の訳語で、簡単に言ってしまえば、どんな人を恋人や結婚相手として好むのか、という問題だ。

少し注意したいのは、これが配偶者選択(mate choice)とは違うということである。カップルになるためには、自分が相手を好むだけでなくて、相手にも自分を好んでもらう必要がある。

そのため「こういう人が好き」と思うこと(選好)と、「こういう人に告白する/付き合う/結婚する」(選択)は、一致するとは限らない。本人がその違いを自覚している場合も、無自覚である場合もあるので、混同すると話が無駄にややこしくなる。ここはご注意願いたい。

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筆者はかれこれ20年ほど、人間の心もまた自然淘汰による進化の産物であるという視点から研究をしてきた。こうした心理学へのアプローチは進化心理学(evolutionary psychology)などと呼ばれる。配偶選好は進化心理学で大きな注目を受けてきた研究テーマの一つだ。注目される理由はさまざまあるが、そこに性差が見られること、そして性差が進化的に上手く説明できるように”思われる”ことが、大きいだろう。