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ピエール瀧、田代まさし、沢尻エリカ…今年の薬物報道「3つの変化」

事件を起こした人が再起を果たすには

2019年は、3月にピエール瀧さん、5月には元KAT-TUNの田口淳之介さん、11月には田代まさしさん、スノーボーダーの國母和宏さん、沢尻エリカさんと著名人による違法薬物の所持や使用による逮捕が相次ぎ、薬物事犯のニュースが世間をにぎわす1年となった。

そしてわずか1年の間に、薬物問題をめぐる報道は大きく3つに分かれ、めまぐるしく変化していくこととなった。今年1年の薬物報道を振り返ってみたいと思う。

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(1)大バッシングから対立構造へ

2019年3月12日の深夜、ピエール瀧さんがコカイン使用により麻薬取締法違反の疑いで緊急逮捕されると、13日未明からマスコミの大騒動が始まった。

これまでに逮捕された芸能人の違法薬物事件はほとんどが「大麻」か「覚せい剤」であったため、第一報は「コカイン」という比較的珍しい薬物に対する詳細な説明が報じられることになった。

特にワイドショーは微に入り細に入り使用方法と効能について伝え、それが逆に薬物使用の興味を煽る結果に繋がっているとは思ってもいないようであった。

 

その直後、第二弾の波が押し寄せ、今度はピエール瀧さんが当時出演中だったNHK大河ドラマ「いだてん」をはじめ、公開直近の出演作品や、上映や放送予定であった過去の出演作品、さらには電気グルーヴとしての楽曲までが次々と公開中止、番組差し替え、代役による録り直し、配信停止などに追い込まれ、自粛の嵐が吹き荒れることとなった。

そして「賠償金は30億円にも上る」と、バッシング報道が現実離れした数字にヒートアップしていくと、この流れに疑問を持った音楽界の重鎮、坂本龍一さんが「音楽には罪はない」と発言し、ソウル・フラワー・ユニオンさんや、モーリー・ロバートさんら音楽関係者を中心に次々と自粛ムードに苦言を呈する方々が現れた。

するとこれら発言に反応するかのように今度は、お笑い界の重鎮である松本人志さんが、「薬物を使って良いものができたとしたらその作品はドーピング作品」と、自粛の停止を求める音楽関係者の意見に真っ向反対する意見をぶつけてきた。これに尾木ママなどのタレントも同調し、一時「ドーピング」という言葉がトレンド入りする騒ぎとなった。

この発言に対し、薬物依存症治療の第一人者であり、後にピエール瀧さんの主治医の立場から、裁判でも情状証人に立つことになった松本俊彦先生が、「コカインを使ったからといって、スーパーマンの様な能力を急に備えることなどない。そういった間違ったメッセージは、逆に青少年に薬物への興味を抱かせる」と警鐘を鳴らし、ドーピング発言は終息していくこととなった。