「子育ては、秘境よりもおもしろい」探検家が父親になって思うこと

角幡唯介さんインタビュー

娘への「やや危険な愛情」

―『探検家とペネロペちゃん』は探検家の角幡さんが、ご本人曰く「客観的に圧倒的にかわいい、娘のペネロペちゃん」を観察した父親エッセイです。探検家という職業と子育てはなかなか結び付きません。

探検家と言うと病気一つしない強い人間だとか、家庭など無縁の世界に生きている印象がありますよね。僕も父親になるまで子供への関心はまったくありませんでした。ところが、できた途端に変わってしまった。

うちの子が並外れてかわいいとはいえ(笑)、いつも子供のことを考えています。その変化に自分自身で驚いて、それを書きたくてしょうがなくなったんです。

 

ただ、娘がかわいくて仕方ないと父親が言うと親馬鹿にしか聞こえない。だったら思い切り馬鹿に徹しようと文章もかなりふざけている。この点でも僕にとって大きな挑戦と言えると思います。

―確かに「ペネロペ・クルスに似ているから」という理由で、本書では本名とは違う「ペネロペちゃん」という名前で呼ぶなどのユーモアが織り込まれています。

本書にはお嬢さんが角幡さんの男性器に興味を持つ話や、好きな男の子に鼻くそを付ける話など、探検ノンフィクションでは出てこなかった内容が登場します。更に父親の娘に対するやや危険な愛情についても言及していたのが印象的でした。

例えば娘の顔のむくみが気になる。それは娘に自分が思う「かわいい人」になって欲しいという気持ちがあるから。それはある意味で性的な視点で、多くの父親が気づいているけれど、変態だと思われるから言わないだけ。

僕も自分で気持ち悪いと思いますが、親子間にもそういう性的視点が介在していることを発見するのがおもしろいから、つい書いてしまう。でも書いた後でしまった、と後悔していますが(笑)。