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2019年の出来事を振り返ると「EU崩壊の足音」が聞こえてくる

不穏な火種がそこかしこに…

イギリスは本当に没落するのか

2019年が終わろうとしている。EUとドイツの1年を振り返ってみると、いろいろな出来事があった。パリではノートルダム寺院が焼け、独ドレスデンの美術館からは、財宝が盗まれたきり出てこない。

しかし、やはり一番インパクトがあったのは、今月12日、イギリス総選挙でほぼ決着のついたEU離脱だろう。来年1月31日で、イギリスはEUから脱退する予定だ。

ドイツの主要メディアの報道は当てにならないが、終始、Brexitについてもそうだった。

 

「離脱を支持しているのは、冷静な判断のできない無学な人たちで、教養人は皆、EU残留を望んでいる」、「EUを抜けたらイギリスは奈落の底に落ちる」、「ジョンソンは史上最悪の首相」といった報道が満ち溢れていたが、蓋を開けてみたら何のことはない、ジョンソンが勝った。

しかも、イギリス各紙の見出しは、「ジョンソンの歴史的勝利」(デイリー・テレグラフ)、「およそ最高の人物」(サン)など。

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それでもドイツ第2テレビの記者は往生際が悪く、ジョンソン勝利の原因を、「国民が離脱騒ぎにくたびれ果て、ジョンソンの甘言の誘惑に抗えなかった」、「対抗馬のコービンが悪すぎた」、「ジョンソンが嘘や誹謗を駆使して強引に押し切った」などと分析した。

したがって今後、イギリスは大混乱に陥るというのだが、これも怪しい。もちろんまだ多くの障害は残っているが、それでもイギリス人はようやく3年間の沈澱状態から抜け出し、久々、勃興の気運に湧いているようにも見える。

思えば、スイスもノルウェーもEUには入っていないが、EUのどの国とも自由貿易を行い、しかも、どの国よりも豊かだ。スイスは人口が855万人、ノルウェーは532万人の小国だが、6631万人の大国イギリスがその仲間入りをすれば、影響力は増す。そのうえイギリスは、ウォール街と並んで世界経済を支配しているシティという面妖な自治体まで持っている。

今でさえ、イギリスは世界のタックスヘイブンのお金の半分以上を取り仕切っていると言われている。ひょっとするとイギリスのオフショア・ビジネスは、EUの軛が外れた途端、活性化するかもしれない。

いずれにしても来年は、イギリスが没落するか、蘇るかがくっきりと見えて来る年となるだろう。

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