心強い「味方」

だが、そんなお二人にも、やがて心強い「味方」が現れる。
 2006年4月、長く務めていた林田東宮大夫が退任し、後任として、外務省出身の野村一成氏が東宮大夫に就任した。

野村氏は、外務官僚だった雅子さまの父の後輩にあたり、駐ソ連大使館時代には、幼き日の雅子さまが「野村のおじちゃま」と呼んでいた人物だ。気心の知れた野村氏が東宮大夫となったことは、雅子さまにとっては「天の助け」だっただろう。

さらに、「救いの手」は、海外からも差し伸べられた。オランダ国のベアトリクス女王から皇太子夫妻に対し、「ご静養のためにオランダにいらしてはどうか」というご招待があったのだ。

陛下とオランダのアレクサンダー皇太子(現・国王)は仲がよく、以前から何度も招待をいただいていた。
それに、ベアトリクス女王の夫であるクラウス公も、長い間「うつ病」に苦しんでいたこともあり、雅子さまの力になりたいと思ってくださったのではないだろうか。

静養とはいえ他国の王室と交流することや、長時間のフライトに耐えられるのか……。
不安を感じる雅子さまの背中を押したのは、陛下だった。

野村大夫の懸命の調整の甲斐もあって、2006年8月、皇太子ご一家のオランダ行きが実現した。雅子さまにとっては、2002年のオーストラリア、ニュージーランドご訪問以来、4年ぶりの海外訪問だった。

ベアトリクス女王、アレクサンダーご一家のあたたかな配慮で、オランダでの雅子さまは、久しぶりに明るい笑顔を取り戻した。アレクサンダーご夫妻の長女・2歳のアマリア王女と並んで手を振る愛子さまの無邪気なお姿にも、ほっこりとしたものだ。

20代の頃、イギリスに2年間留学されていた陛下は、そのお人柄もあってか、海外王室との交流も深い。国内で「四面楚歌」の状態が続く中、他国の王室の方々がお二人を助けようとしてくれた

そのことが嬉しくて、なんだか胸が熱くなる。

2006年8月、4年ぶりの海外訪問でオランダに行かれた皇太子ご一家とオランダ国王ファミリー Photo by Getty Images

2019年10月、陛下の「即位の礼」が行われた折、「饗宴の儀」で親し気にチークキスを交わされていた雅子さまとオランダのマキシマ王妃。
苦しい時に手を差し伸べてくれたオランダ王室との友情は、今も続いている

秋篠宮悠仁親王の誕生

ご夫妻がオランダから帰国してまもない2006年9月6日。秋篠宮妃紀子さまに、親王が誕生された。

皇室に、実に41年ぶりとなる男子誕生……秋篠宮悠仁さまがお生まれになったことにより、皇室ご一家の運命は、大きく変わっていくこととなる。

次回は、「母親」としての雅子さまの試練について書いていきたい。
 

参考文献
皇后雅子さま物語』(文春文庫)友納尚子
雅子妃 非運と中傷の中で』(文春文庫)友納尚子
皇后雅子 妃から后への三十年』(講談社)石井勤
生まれてきてくれてありがとう、愛子さまの二年間』(朝日出版社)近重幸哉
雅子さま ご成婚十年の苦悩』(講談社)渡邉みどり
素顔の雅子さま』(主婦と生活社)週刊女性皇室取材班

編集部注:敬称や名称については当時のものを使用しています。

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